Research Abstract |
平成23年度の実施計画は,1)多方向から地震動を受ける空間構造物の応答性状,2)空間構造物の地震応答性状の体系的整理であった。 1)については,平成22年度まで分析してきた単一方向からのみの入力に対する地震崩壊,応答性状を発展させ,多方向から地震動を受ける場合の応答性状について振動実験および数値解析によって分析することで分析した。振動実験において対象とする空間構造物は,スパン160cmの単層ラチスドームとした。実験における入力地震動は,実地震動および人工地震波である。応答は弾性範囲とし,弾塑性範囲における応答は今後の課題とした。また,数値解析では,振動実験結果を検証した上で,さらにパラメトリックな解析を行い,応答性状について体系的に分析した。最終的には,多方向入力に対応した応答加速度評価手法を提案した。2)については,平成23年度までの3年間の研究成果を論文としてまとめることにより体系的なまとめとした。具体的には,動的崩壊実挙動の分析,崩壊挙動予測手法を応用した最大加速度応答倍率の予測,エネルギー吸収機構(TMD,粘性ダンパー)を用いた応答低減効果の分析等である。その結果として,未だ解明されていない性状,提案の適用範囲外となる場合はあるものの,今後提案されることになる空間構造物のための耐震設計手法の一助となったものと考えている。また,本研究で明らかとなった課題や対応しきれなかった範囲については,今後も研究を進めていく予定である。
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