2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21760430
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐藤 裕一 京都大学, 工学研究科, 助教 (20293889)
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Keywords | 鉄筋コンクリート / ひび割れ幅 / 性能評価 / 有限要素法 / 付着 |
Research Abstract |
本研究は,地震等によって鉄筋コンクリート構造物に発生したひび割れ幅から損傷状況を評価するため,既存の有限要素法ひび割れ幅計算手法を時刻歴応答解析に拡張することを目的としており,プログラム構築と実験の両面から作業を進めている。 プログラム構築:地震等により鉄筋コンクリート構造物は正負繰り返し荷重を受ける。また載荷過程や除荷過程でも,局所的な応力状態によって複数のひび割れの交差が発生する。ひび割れの交差処理には,特に旧ひび割れ端部との誤った接続を防ぐ必要がある。これは,ひび割れ進展処理時に評価された応力集中が,新ひび割れの方向を変化させてしまうために発生する問題である。この問題を解消するために,(1)ひび割れ先端の応力集中の再評価,(2)ひび割れ面直交方向の応力緩和の再評価を行い,ひび割れ進展判定機能の大幅な修正を行った。また鉄筋と交差するひび割れに関しては(3)コンクリート界面との付着応力~滑り履歴モデルを導入し,除荷時残留ひび割れ幅の精度向上を行った。これら3点の修正結果を評価するため,柱モデル(既往研究試験体8体),梁モデル(既往研究試験体8体),壁モデル(既往研究試験体4体と後述の小型壁試験体12体)についてそれぞれ解析精度を検証した。 実験:ひび割れ交差処理構築,および,ひび割れ進展処理機能修正に必要なデータを得るために実験を行った。当初計画では6体の中規模試験体を準備する予定であったが,ひび割れの局所進展を詳細に観察するため,小型壁試験体12体に計画を変更し,載荷条件,コンクリート強度,ひび割れ分散用の繊維混入量をパラメータとしてせん断実験を行い,前述の構築プログラムの精度検証用データとした。 精度検証の結果,75%の試験体のひび割れ幅を良好に予測したが,25%の試験体で乖離が見られたため,次年度(最終年度)にさらなる改善を行う予定である。
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Research Products
(1 results)