2009 Fiscal Year Annual Research Report
履歴・粘性複合型制振構造の動特性モデリングに基づく最適設計法とロバスト性解析法
Project/Area Number |
21760431
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
吉冨 信太 Kyoto University, 工学研究科, 助教 (30432363)
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Keywords | システム同定 / 簡易解析モデル / 等価線形化 / 粘弾性ダンパー / 履歴ダンパー |
Research Abstract |
粘弾性ダンパーや履歴ダンパーなど複雑な構成則を有する制振機構を有する大規模構造物についても,比較的詳細なモデル化を行い,地震時の構造物の挙動を追跡する応答解析環境はほぼ整備されているといえる.その一方で,制振ダンパーの設計問題や配置問題などの研究成果は実務で有効に利用されていない.本研究課題においては,制振構造の設計においては,興味ある設計条件のばらつきが制振構造の設計に及ぼす影響を直接提示することが重要であると考えている.そのためには,複雑な情報を設計者が認識可能な形で提示する簡易化と,解析モデルそのものの簡易化の両者が必要であると考えている. 本年度は,構造物の高精度な簡易解析モデル構築を目的として研究を進めた.解析モデルの簡易化の一手法として,実際の構造物と解析モデルとの対応を明らかにするためのシステム同定法を利用することを考えた.システム同定法は,主として建物の応答から,建物の有する剛性や減衰といった物理的なパラメターを推定する手法である.本年度は,入力が未知の場合や,複数の入力が混合している場合の応答のみに基づいて構造物の諸元を推定する手法を提案した.本提案手法によれば,構造物の地震時の応答が等価になるように,簡易モデルの諸元を決定することができる.たとえば,非線形の構成則を有する制振機構を設置した場合には等価な線形モデルの諸元を決定することに相当する.通常の等価線形化法においては,変位の仮定が重要であるが,本手法を利用すると,そのような手続きが不要になることが期待される.本年度の成果を拡張して,動的応答を制約した履歴・粘性複合型制振構造の最適設計法の構成や,履歴・粘性複合型制振ダンパーの設計条件のばらつきに対する頑健性の理論的解明を進めることができる.
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