2010 Fiscal Year Annual Research Report
初期変位を与えたセミアクティブTMDによる過渡応答の制御
Project/Area Number |
21760440
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
吉中 進 大阪市立大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (70401271)
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Keywords | 建築構造 / 振動制御 / TMD / 過渡応答 / 初期変位 |
Research Abstract |
本研究は、質量比が小さくても優れた共振応答低減効果を持つTMDにおいて、従来あまり効果が期待できなかった過渡応答初期の制振効果を向上させることを目的として、TMDに初期変位を導入するという簡単な機構を持つ新しいセミアクティブTMDの提案である。過渡応答初期の制振効果を向上させることにより、地震動やその他さまざまな外力に対するTMDの適用範囲の拡大を図ることを目的としている。昨年度は、初期変位付与型セミアクティブTMDに関する研究の第一段階として、数値解析的手法を用いて基礎的な検討を行い、初期変位の大きさや各種パラメータの設定などの基本となる設計式を提案した。本年度は、昨年度の研究成果に基づき、一般的な建築構造を想定した多自由度系モデルにおける制振効果に関する解析的検討を行うとともに、インパルスハンマーを用いた簡易な平板モデル打撃試験を実施した。 具体的な研究成果を以下に述べる。 1.多自由度系モデルにおける制振効果の確認 昨年度の研究における1自由度系モデルを対象とした検討結果に基づいて提案した、(1)最適初期変位の大きさ、(2)TMDの同調比、(3)TMDの減衰比の3つの初期変位付与型TMDの設計パラメータを用いて、多自由度系モデル(本研究では大スパン屋根構造モデルを用いた)における制振効果を数値解析的に確認し、提案手法が一般的な建築構造においても有効であることを確認した。 2.平板モデル実験による制振効果の確認 通常のTMDに加えて電磁石、コントローラー、振動センサーを設置した初期変位付与型小型TMD模型を製作し、0.2×1.2mの小規模の鋼板モデルに設置して、インパルスハンマーを用いた打撃試験を行った。その結果、解析的手法によりこれまで検討した初期変位付与型TMDの制振効果を実験的に確認するとともに、試作した初期変位付与型TMD模型が有効に機能することを確認した。
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Research Products
(5 results)