Research Abstract |
1.エアコン冷房運転時におけるシーリングファンの温熱環境改善効果の把握 実際に使用されている大学教室にシーリングファン4台を設置し,鉛直温度測定(室内60点)と居住域水平温度分布測定(室内17点),及び居住域風速測定(室内13点)を行い,シーリングファンの回転数及びエアコンの設定温度が教室内の温度分布及び温熱環境に及ぼす影響について把握を行った。昨年度は,冬季に室内気流の撹拌による上下温度分布の解消効果を検証したが,今年度は通常使用される夏季において,シーリングファン(下向き運転)とエアコン(冷房)を同時使用した際の教室内環境測定を行い,シーリングファンの気流感による省エネルギー性と快適性の検討を行った。 2.エアコン冷房運転とシーリングファンを併用して稼動させた時の被験者による温熱環境評価実験 シーリングファンを設置した教室において,被験者を用いて,教室内の7つの座席にそれぞれ15分間着席させ,その間に,気流感,気流快適感,気流の受容度,気流の変化希望,温冷感(体全体/上半身/下半身),熱的快適感,熱的受容度,温度希望の各項目について2回評価を行い,温熱環境評価実験を行った。座席は順次移動して全員の被験者がランダムに全て座席に座り評価を行った。その結果,気流快適感と熱的快適感の間には非常に強い相関が見ら,両者の間には強い関係性があることが分かった。また,個人毎の集計結果から,気流快適感や熱的快適感は個人により傾向が異なっており,好む気流や温度については個人差が大きいことも分かった。 3.人工環境気候室におけるシーリングファン気流の長期暴露下での被験者による温熱環境評価および生理量測定 夏期にシーリングファン気流を長期暴露した際の心理・生理反応の経時変化を被験者実験により把握し,シーリングファン回転数および気流暴露時間の影響について明らかにした。その結果,気流により皮膚温は低下するが,直接気流が当たる部分の低下が顕著であった。また,体全体の温冷感は上半身に依存し,主観評価は始めの30分については変動が大きいが,その後はほぼ一定の評価に収束する結果が得られた。 なお,上記の研究成果は,2011年3月の空気調和・衛生工学会近畿支部で発表を行った。また,同6月の国際学会ROOMVENT2011や同9月の日本建築学会大会で発表予定である。
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