2009 Fiscal Year Annual Research Report
建物換気口のためのニューラルネットワークを用いたアクティブ騒音制御手法
Project/Area Number |
21760451
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
穴井 謙 Kyushu University, 大学院・人間環境学研究院, 助教 (10325467)
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Keywords | アクティブ騒音制御 / 建物換気口 / ニューラルネットワーク / 騒音判別 |
Research Abstract |
本研究は,騒音に弱い建物換気口に対してアクティブ騒音制御(以下ANCと略す)技術を適用して,換気口から室内へ侵入する騒音を防止する手法を提案するものである。生活音などのノイズの影響を排除して,安定して騒音制御できるANCシステムを考案することを目的としている。本年度は,「屋外騒音と生活音の判別アルゴリズムの考案」が主たる課題である。この課題の解決は,制御対象ではないノイズが常に存在する建物外周部にANC技術を適用するために必須である。 研究内容の概要は次のとおりである。騒音と生活音の周波数特性の相違に着目することで制御対象騒音の判別が可能であると考え,判別対象音の周波数特性をバンド分析して,その特徴を自動車騒音の周波数特性モデルと比較し,類似性を評価するという判別手法を検討した。結果として,判別の際に必要となる,分析手順(自動車騒音の特徴が現れる56Hz~3,550Hzの周波数特性を16バンドに分類),自動車騒音に関する5つの周波数特性モデル,類似性を評価するための尺度および閾値を提案した。そして,提案した手法が,実空間の道路沿道の騒音(約400分)に対して90%以上の正答率があること,また,主に人の声(生活音)で構成されるテレビの音(約60分)に対して84%の正答率があることを確認した。さらに,換気口におけるANCの数値シミュレーションを行い,騒音と生活音が混在する場合でも,提案した判別手法を組み込むことで生活音によるANCの誤動作を抑制することが可能であることを確認した。 この判別方法を,ニューラルネットワークを用いた手法に拡張することで,制御空間に存在する騒音を予め学習することが可能な,より正答率の高い判別手法として提案することができると考えている。
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