Research Abstract |
本研究は,騒音に弱い建物換気口に対してアクティブ騒音制御(以下ANCと略す)技術を適用して,換気口から室内へ侵入する騒音を防止する手法を提案するものである。生活音などのノイズの影響を排除して,安定して騒音を制御できるANCシステムを考案することを目的としている。 本年度は,「ニューラルネットワーク(以下NNと略す)を応用した制御アルゴリズム」を提案した。まず,NNにおける音響信号の取扱いを決定した後に,純音・狭帯域ノイズ・広帯域ノイズに対するNNの学習能力を検討した。剛は,いずれの音響信号に対しても高い学習能力があるという結果が得られた。次に,換気口のANCにNNを適用できるかどうか検討したところ,換気口を透過する限られた帯域の自動車騒音に対して,NNは非常に高い学習能力があることが分かった。最後に,交通量が少なく単体走行している自動車騒音や,交通量が多く定常走行している自動車騒音など,いくつかの騒音を対象に,従来のLMSアルゴリズムとNNアルゴリズムの制御効果を比較した結果,NNは長時間学習させることでLMSよりも3~25dB高い効果が得られることを明らかにした。なお,提案手法で使用したNNは3層の階層型とし,各層を構成するユニット数は,入力層80,隠れ層13,出力層1とした。 昨年度に考案した「屋外騒音と生活音の判別アルゴリズム」と,本年度の「NNを応用した制御アルゴリズム」を組み合わせて動作させることで,本研究の目的である,ノイズに影響されない建物換気口のためのアクティブ騒音制御技術が実現される。
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