2009 Fiscal Year Annual Research Report
ソーシャル・インクルージョンを目指したNPOを中心とするPPPとコミュニティ開発
Project/Area Number |
21760459
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
森 傑 Hokkaido University, 大学院・工学研究科, 准教授 (80333631)
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Keywords | 限界集落 / ソーシャル・キャピタル / コミュニティ / 民間企業 / PPP |
Research Abstract |
限界集落における居住環境は、人口が減少し公共サービスが十分に行き届かないことから不自由なものであることが予想される。しかし、住民間の相互扶助によって、積極的に現状を改善しようとしている事例もある。そこで本年度は、人口減少率が10%以上、高齢化率50%以上の限界集落である北海道積丹町西河町に注目し、ソーシャル・キャピタルの観点から居住環境の実態を把握することで、限界集落において持続可能な居住環境を実現する可能性についての基礎的知見を得ることを目指した。 具体的には、全住民を対象とした生活実態調査およびライフヒストリー調査を実施するとともに、住民の交流拠点となっている民宿Hの活動の分析を行った。調査対象者の世帯毎に、一日の生活の中で遭遇した人のほか、電話で会話をした人・友人や顔見知り・親戚などの活動データを抽出し、その関係性を習慣的関係・扶助的関係・娯楽的関係の3つに分類した。その結果、特に習慣的関係は日常的に利用されている民宿Hにて築かれているものが多く、そこから娯楽的関係へと発展することが明らかとなった。また民宿Hの従業員と、主な利用客であり食材を買い付ける相手でもある漁師との関係性が強いことも明らかとなった。加えて、古平町のO水産加工場での勤務経験がある住民は、民宿Hと同様に集落内外に習慣的関係や娯楽的関係を築いていることも明らかとなった。 民宿HやO水産加工場は営利目的の企業であるが、西河町やその他の近隣集落におけるソーシャル・キャピタルの形成に貢献し、社会的に重要な役割を果たしているといえる。したがって、こうした拠点を持つ民間企業などに着目しその機能を持続できるような支援を考えることは、限界集落の居住環境を豊かなものにする上で有効であると考えられる。
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Research Products
(1 results)