2009 Fiscal Year Annual Research Report
歴史文化景観の保全・形成に向けた景観マネジメントに関する研究
Project/Area Number |
21760460
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
三宅 諭 Iwate University, 農学部, 准教授 (60308260)
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Keywords | 町家 / 改修助成 / 景観法 / 景観計画 / 景観条例 / 景観マネジメント / 歴史文化景観 |
Research Abstract |
景観法制定から5年が経過し、現在までに100を超える景観計画が策定されている。しかし、景観法だけで望ましい地域景観を形成できることはなく、策定された計画を実現していくための仕組み(すなわちマネジメント)が問われてくるといえる。一方、各地で町家再生が注目されており、町家保存、再生が景観まちづくりに対する取り組みの契機となっている地域が多い。本研究では、各地の自治体で歴史文化景観の保全として積極的に取り組まれている町家改修に関わる助成制度に着目し、町家等改修助成制度を定めている主な自治体の施策を整理し、改修助成制度の運用状況と課題を明らかにすることを目的としている。 平成21年度は、町家等の保全の先進的自治体と積極的な取り組みをしていると思われる京都市、金沢市、小松市、加賀市、大津市、大野市、津山市を事例として施策の整理を行った。その結果、以下のことが明らかになった。 (1)助成制度は景観行政団体では2008年以降から活発になっている。 (2)景観計画を策定している場合、特定区域だけではなく景観計画区域全域での制度の運用が期待されている。 (3)助成の対象は従来の外観修復だけでなく、設計段階、建築物の内部にまで対象が広がりつつある。また景観保全だけでなく、町家の利活用による景観まちづくりへと景観保全に対する考え方の変化が見られる。 (4)今後は専門家等と地域住民の連携の強化、町家の利活用による賑わい創出等の施策展開が求められる。 (5)地域協議会やNPOが積極的に活動している地域は、地域住民の活動が活発化している傾向がある。 今後はマネジメントの仕組みに向けた助成制度の利用状況や各主体間の関わり方を整理することが必要である。
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