2010 Fiscal Year Annual Research Report
歴史文化景観の保全・形成に向けた景観マネジメントに関する研究
Project/Area Number |
21760460
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
三宅 諭 岩手大学, 農学部, 准教授 (60308260)
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Keywords | 都市計画・建築計画 / 歴史文化景観 / 景観マネジメント / 町家 |
Research Abstract |
本研究は、景観に関する法制度の充実化を受け、今後の景観施策のポイントを、制度を運用するマネジメントに求め、有用な景観マネジメントの仕組みを明らかにすることを目的としている。盛岡市鉈屋町では2003年より町家等の歴史的資源を生かしたまちづくりに取り組んでおり、近年は地域内外の若者による利活用の取り組みが見られる。本年度は先進自治体の施策整理と主体間の関わり方を明らかにするとともに、盛岡市鉈屋町における若者メンバーの形成過程とその効果について調査分析を行った。その結果以下のことが明らかになった。 若者が町家等を利用したイベントを行うことで従来の客層とは異なる若い世代が来訪する機会となり、それにともなう住民との交流や新たな賑わい創出の機会となった。また町家への出店は若者にとって創作活動の発表・交流の場にもなっており若者と地域住民双方に有意義な機会となっている。特に世話人を基点とする二次的な人の繋がりで形成されており、顔の見える範囲で活動できたことが信頼を得ることにつながったと言える。また、住民と若者をつなぐ世話人の存在、活動拠点となる町家があったことも大きな要因である。 しかし、継続的に活動していくためには定住促進や町家継承の課題も指摘された。特に所有者が不在の場合、所有者負担の町家改修に否定的なことも多く、他地域で取り組まれている助成制度や空き家バンクなどの取り組みを併せて行う必要があるといえる。歴史文化景観に対する市民意識は高まっており、利用価値を高め、緩やかで信頼できるネットワークを築くことで景観保全・形成に向けたあたらしいマネジメント主体の構築が可能となるといえる。
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