2009 Fiscal Year Annual Research Report
ハリケーン・カトリーナ災害の復興過程における地域生活空間の再構築に関する研究
Project/Area Number |
21760472
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
近藤 民代 Kobe University, 工学研究科, 准教授 (50416400)
|
Keywords | 災害復興 / 住宅再建 / ハリケーン・カトリーナ災害 / ロードホーム・プログラム |
Research Abstract |
平成21年度の研究成果は以下に集約される。 (1) 地区別の住宅再建の状況把握と地区格差 カトリーナ災害の被災地ニューオリンズ市における住宅再建の状況について現地調査を実施することによって三地区、計1548戸の住宅再建の状況を明らかにし、地区ごとの再建状況に影響を与えている要因について考察を行った。調査地域を決定する際には、住宅被害が同程度に甚大な地域を抽出したのちに、人種・所得階層・住宅属性などの地域属性が異なる三地区を選出している。再建状況を(1)再建済み、(2)再建中、(3)放棄、(4)空地に分類したところ、全地区について5割程度は住宅再建済みである点は共通していることが明らかになった。しかし、白人・高所得者層が多い地区(Lakeview地区)については他二地区(中所得層Gentilly Woods地区,低所得層Holy Cross地区)と比較すると、放棄住宅の割合は後者は前者のおよそ半分、逆に空地の割合は後者は前者の倍ほど存在していることから、後者については住宅再建の意思決定・実行が遅れている実態が解明された。 (2) 住宅再建支援プログラム(ロードホーム・プログラム)の実態と課題 ルイジアナ州復興本部による報告書に基づいて、同プログラムの実態と課題について考察を行った。被災者の視点から住宅再建支援を評価すると支給の時期が非常に遅れたこと、支給額の算定には住宅補償の観点から被害額だけではなく不動産価値を支援金(補償金)の算定を行う上で考慮に入れられていることから、自動的に不動産価値が低い低所得者地域では支援金が少なくなる上に、彼らは支援金に上乗せして再建支援金を確保する能力が低いことから、彼らにとって不利な制度設計になっていることを課題として指摘した。。これらについては災害復興研究Vol.2の依頼論文として投稿している。
|