2010 Fiscal Year Annual Research Report
ハリケーン・カトリーナ災害の復興過程における地域生活空間の再構築に関する研究
Project/Area Number |
21760472
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
近藤 民代 神戸大学, 工学研究科, 准教授 (50416400)
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Keywords | 災害復興 / 住宅再建 / ハリケーン・カトリーナ災害 / ロードホーム・プログラム |
Research Abstract |
本研究ではカトリーナ災害4年後のニューオリンズ市における地域別の住宅再建に対する意思決定と三地域における住宅再建の実態を明らかにした。住宅再建調査の対象地域とした三地域における住宅被害と住宅再建の関係については、被害程度が5割を上回ると放棄された住宅や空地の割合が増加するものの、住宅被害率が低いほど住宅再建が進んでいるという単純な関係にはないことが浮かび上がった。市内の73地域ごとに売却された不動産と住宅被害率の間には因果関係が確認できたが、住宅再蓮調査を実施した三地域においては被害程度が同程度であるにもかかわらず、売却された不動産の割合には格差があることが明らかになった。これは住宅再建の状況に対して住宅被害以外の要因が潜んでいることを示している。三地域において共通していたのは、再建済みと再建中の割合が約5割程度であった点である。その一方で異なる割合を示したのは、放棄された住宅と空地の割合であった。レイクビュー地域では、空地の割合が大きく、住宅再建が他二地域と比較して進んでいる状況にある。次にジェントリーウッズ地域とホーリークロス地域は、放棄された住宅の割合が大きいが、前者は売却された割合が大きく住宅再建に向けた売却という意思決定を行った居住者がある程度いるのに対して、後者ではその割合が少なく、住宅再建が遅れている実態が明らかになった。このような住宅再建の実態に影響を与えている要因として、居住地の不動産価値、居住者の平均所得、住宅再建支援金の受給額、住宅の所有形態などを指摘した。このような今年度の研究を通じて構築された仮説を検証していくことが来年度の課題である。
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