2009 Fiscal Year Annual Research Report
アメリカの郊外住宅地におけるセキュリティ・マネジメントに関する研究
Project/Area Number |
21760475
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
柴田 建 Kyushu University, 人間環境学研究院, 助教 (60325545)
|
Keywords | 郊外 / セキュリティ / アメリカ / ゲーテッド / マネジメント / HOA / ニューアーバニズム / 防犯 |
Research Abstract |
平成21年度には,アメリカのワシントン郊外のグリーンベルト・ケントランド,ニューヨーク郊外のラドバーン・レヴィットタウン等の各時期・各計画理念にもとづき開発された郊外住宅地を訪れ,各地の住宅地マネジメントの担当者(HOAのマネージャー,市政府のマネージャー,アーバンデザイナー等)に対するインタビューを行った。その結果,各住宅地において,空間のデザインや日常の住環境の維持管理の中で「セキュリティ」がどのように取り扱われているかをそれぞれ具体的に把握した。 さらに,フェンスで囲まれ入り口にゲートを持つ「ゲーテッドコミュニティ」に関するフィールドワークを実施した。特に,近年ゲーテッドコミュニティの開発が盛んに行われているといわれるフロリダ州のなから,フロリダ大学の位置するゲインズビル市を対象とし,市内のゲーテッド・非ゲーテッドのコミュニティについての現地調査を実施した。その結果,単に富裕層向けのみならず,むしろ貧困層が自営のためにゲート・フェンスを設置したコミュニティも存在することや,ゲートを設置したものの日常的に開いたままの状態で防犯には直接寄与していない場合が多いことなどが明らかとなった。 さらに,フロリダ大学の都市・地域計画学科の教員・学生と共同で,ゲインズビル市警察とともにセキュリティに関するワークショップを実施した。 以上の活動により,アメリカの郊外住宅開発史における人種隔離を含めたセキュリティ戦略の変遷とその空間的・社会的技術を把握した。さらに,近年のゲーテッドコミュニティが予想以上に居住社会層やゲートの機能・管理状態が多様であることが明らかとなった。
|