Research Abstract |
平成23年度には,デトロイト市郊外のサニーサイト地区,およびシアトル市郊外のニューホーリー地区,レーニアヴィスタ地区,およびハイポイント地区にて現地フィールドワークを実施した。本研究においてこれまで主要なフィールドとして調査を行ってきたカリフォルニア州アーバイン市は,FBIにより全米で最も安全な都市にランク付けされ都市てあり,高級住宅地で構成されていた。今年度には,荒廃した郊外部における再生の試みと,その中てのセキュリティマネジメントについて調査を実施した。 デトロイト市は,全米で最も治安の悪い都市としてランク付けされでいるが,そのなかても対象とした現地は,空家/空き地が増加しているデトロイト市郊外の中で特に荒廃か進んだ地域である。また,居住者は,大半アフリカ系アメリカ人であり失業率か高い。居住者が希望を持ちにくい状況の中で犯罪か多発しているのてある。こうした状況の中で,犯罪の巣窟や放火の対象となる空家を取り壊すNPO,アフォータブルな新築住宅をボランティアにより建設するNPO,居住者に対して破産回避の教室を運営するNPO等を取材した。シアトル市においても,郊外の荒廃したエリアの再生事例をフィールドとした。ここては,ニューアーバニズムの手法を用いてクリアランス後の全面再開発か行われていた。住宅は,市場で売買される民間企業開発の分譲住宅と,公営賃貸住宅か混ぜられており,ソーシャル・ミックスがなされている。また,入居者のなかで多く見られたのが,ヴェトナム,ソマリア等からの難民であったが,英語教室,男性向けパソコン教室,女性向け裁縫教室なと,多様な活動を通してアメリカ社会の一員として迎える取り組みがなされていた。 こうして,アーバイン等では,土地利用規制,HOA,ゲーテッドコミュニティ等のハード/ソフトを駆使することでコミュニティの外部にある(と想定されている)犯罪から隔離するマネジメントがなされていたのに対し,デトロイト等ては,むしろリスクはコミュニティの中に有り,地域の人々をコミュニティニのメンバーとして包含することこそがセキュリティ・マネジメントとなっていた。
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