2011 Fiscal Year Annual Research Report
フランス都市計画の政策合成・一般市街地制御・地域間調整技術による景観街づくり
Project/Area Number |
21760478
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
鳥海 基樹 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 准教授 (20343395)
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Keywords | 都市開発 / 駅前広場 / 首都圏整備計画 / ル・アーヴル / グラン・パリ / 都市デザイン |
Research Abstract |
本年度は、フランスの都市計画関連制度の現況に関し、以下の研究を行った: A.開発型都市デザインの事例:本年度は我国でも「開かずの踏切」などと問題視されることのある駅周辺整備を研究した。その結果、以下の結論を得た: (1)近年の駅及び周辺整備推進の背景には、欧州連合の鉄道市場の開放政策、環境調和型交通手段とのシームレス化、新幹線整備推進等がある。 (2)駅及び周辺整備に必要な制度設計、組織整備、あるいは予算措置を国自らが進め地方自治体や国鉄を支援している。 (3)専門シンクタンクが旅情の確保を主眼とし、視認性と都市的連続性を方策とした計画・設計を行っている。 (4)地方自治体が、国土計画や広域都市計画の尺度で駅及び周辺整備を一体的に位置付けている。また、自治体・国鉄内部向けのマニュアルが作成され知見が共有されている。 (5)鉄道事業に駅及び周辺整備も付加したパッケージ型の輸出には至っていないが、国鉄子会社の活動からは駅舎管理や諸主体調整といった分野も含めた海外展開の推進が予想される。 B.首都圏整備計画の概要把握: グラン・パリ構想でパリの外港として位置付けられたル・アーヴルの都市計画の考察から以下の結論を得た: ・機能的重層性:港湾を物流空間という単一機能ではなくアメニティ提供空間として捉えるようになっている。再開発では住宅政策との連関が考慮されている; ・社会的重層性:強味の強化と同時に、社会住宅整備や衰退施設の再利用という社会的視座を有している ・地理的重層性:港湾部に留まらず市全体、さらには後背地との連関も考慮した計画が立案され始めている。 また、これらは経済性も考慮した都市デザインにより先行的に提示されている点も特記に値しよう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
単に制度を翻訳・転写する広域都市計画の分析ではなく、フランス全国都市計画機構(FNAU)大会で示唆されたプロジェクトを単位とした開発のために広域連合が結成されるという視点に立った結果、駅周辺整備や首都圏整備計画に関して現実的議論をフォローできている。ただ、小規模自治体の調査は遅れ気味である。
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Strategy for Future Research Activity |
全国都市計画機構(FNAU)での議論をフォローすることで、フランスの都市計画の第一線で交わされる議論に基づき、そのために自治体単位が再構成されるという視点で研究を進めてゆきたい。とりわけ、商業都市計画による都市周縁のコントロールは我国にとっても示唆に富もう。
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