2012 Fiscal Year Annual Research Report
フランス都市計画の政策合成・一般市街地制御・地域間調整技術による景観街づくり
Project/Area Number |
21760478
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
鳥海 基樹 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 准教授 (20343395)
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Project Period (FY) |
2009-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 文化的景観 / ワイン観光 / 景観保全 / サン・テミリオン / AOC / 都市デザイン |
Research Abstract |
我国では文化的景観は衰退農地を対象としがちだが、近年の農政の動向を勘案し、成長農業の文化的景観の事例として、フランスのワイン用葡萄畑のそれを研究した。その結果、以下の結論を得た: ①効率的農業と文化的景観の両立のための管理組織の構築:農地集約や機械化等の効率化に対し、専門の地元組合や中央の研究所との共同景観管理組織が構築され、生産者側の意向を勘案しつつも文化財の真正性を毀損しない方策が探求されている。 ②景観保全のための諸制度の利用と分節化:フランスの葡萄畑の景観保全には、近年整備された優良農地保全制度も含め様々な手法があるが、AOC制度による栽培方法の制御は近景保全に最適と考えられ、その分、文化財保護制度等ではそれに干渉せず分節化を徹底している。 ③葡萄畑の広告媒体化による修景の進展:ワイン観光を通じた生産直売や情報通信技術を利用した遠隔販売の可能性が探究され、その広告媒体として葡萄畑の景観の重要性が再認識されている。そのため有機栽培等の進展は無論、上記①による組織的対応とも相俟って、消費者に誠実な生産のイメージを附与する段々畑が修景により再生される等の効果が現れ始めている。 ④質の高い現代建築の実現:同時に、高付加価値ワインの消費階層の審美眼に応答可能な現代デザインの醸造施設も重視され、葡萄畑の中に屹立しつつもそれを紊乱しない現代建築が実現している。そして、近景に関しては建築の質がワイン価格に影響する市場原理を通じて調和を実現可能なため、施主及び設計者との調整は中・遠景とのそれに限られる。 ⑤都市計画の機能不全や広域化にまつわる問題:他方、葡萄畑農家に後継者不足等の問題がある場合や、経済的に宅地化等が合理的な場合、市街化指向の都市計画に好意的になる。地方分権の進行は、その意向の反映を容易にしている。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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