2009 Fiscal Year Annual Research Report
炭鉱住宅および炭鉱地域の居住性に関する研究-美唄市における持続的居住の可能性-
Project/Area Number |
21760483
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Research Institution | Hokkaido Institute of Technology |
Principal Investigator |
谷口 尚弘 Hokkaido Institute of Technology, 空間創造学部, 准教授 (80337013)
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Keywords | 炭鉱住宅 / 居住環境 / 持続的居住 / 居住歴 / 住環境システム / 北海道美唄市 |
Research Abstract |
本研究は炭鉱居住の住み続けられている背景とその方法(持続居住性)について、探ることが目的である。研究方法は、北海道の美唄市の炭鉱居住地域を対象とし、炭住等に関わる文献や資料を収集、さらに現地調査や居住者ヒアリングを実施した。対象とした美唄市の炭鉱は、主に三菱美唄炭鉱が東美唄地域を三井美唄炭鉱が南美唄地域を買収しており、初期から繁栄及び衰退時期における炭住及び居住地の形成と居住者の居住歴について分析した。 炭鉱住宅・居住地の形成については、現在の炭住は2戸建長屋と4戸建長屋のみ残存しており、改修しての居住や廃屋がある。東美唄地域は主に2戸建長屋のみが、南美唄地域は2戸建長屋と4戸建がいまなお残存し、南美唄地域の残存状況が良い状況にある。開鉱(買収)時期が早い東美唄地域は「鴻の台」から始まりその周辺と「二の沢」へ展開された。一方、南美唄地域の炭住は、初期は「奥の沢」と「落合の沢」に存在していたが、三井美唄炭鉱が買収時に就労と居住の問題から平地へ移行され、札幌市の"碁盤の目"の都市計画を採用し形成された。その居住地において少しでも華やかなまちづくりを促した。また、繁栄期における両地域の規模は圧倒的に東美唄地域が大きく、管理体制が難しかったものと考えられ、これらのことが両地域における残存状況が異なる背景であることが明かとなった。炭鉱閉山以降の住環境システムは、炭鉱閉山時、企業は労働者たちに退職金代わりとして安価で炭住を与えており、住戸所有者は企業から居住者、土地は企業所有にした背景がある。炭住から離れる際は住戸を取壊し、更地にしてから企業に返却する仕組みである。現在、企業の窓口的役割として、借地組合が存在している。これは町内会によって運営されており、毎年居住者を交えて会議などを行い、地代を決めて企業と相談するなど、南美唄地域の形成には欠かせない組織となっていることが明かとなった。
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