2009 Fiscal Year Annual Research Report
ボンベイ改善トラストによる住宅供給事業の展開とその影響に関する研究
Project/Area Number |
21760485
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
池尻 隆史 Tokyo University of Science, 工学部・第一部, 助教 (10408718)
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Keywords | 都市計画 / 建築計画 / 公共住宅 / 植民都市 / チョール / 集合住宅計画 / ムンバイ / インド |
Research Abstract |
本課題はこれまで研究的蓄積の少ないボンベイ改善トラスト(以下、BIT)による住宅供給事業を対象に、その歴史的展開を明らかにすると共に、供給された住宅の特性や存続状況の記録も目的としている。このBITによる住宅供給事業はアジア地域における公的住宅供給実績としては最も初期の事例の一つであり、集合住宅の建設史上極めて重要なものと位置づけられる。 本年度は研究計画に従って課題に着手し、基礎的な資料収集を行うと共に、現況調査や実測調査を開始した。 主な研究成果は下記の三項目に要約される。 1) 年次報告書資料に基づく供給実績の全貌把握 大英図書館所蔵のBITの活動記録資料から全住宅供給事業を抽出し、それぞれの事業概要や建築計画上の特色を記録した. 2) 旧BIT事業地の存続状況の把握 資料調査に基づき、現地(ムンバイ市)における旧BIT集合住宅を踏査し、19事業地の存続を確認した。これらの住宅の多くは、現地でBITチョールと呼ばれており、住棟配置や平面計画において幾つかの類型が存在することが明らかとなった。 3) BITチョールの実測調査の実行 現存するBITチョールのうち、近々の再開発が予定されているAgripada地区およびImamwada地区のものについて、実測調査を行った。これらのBITチョールは全事業中の初期~中期にかけて建設されたものに当る。とりまとめた実測図は、この時期における住居計画の発展過程を示すもので、鉄筋コンクリートなどに代表される当時の新構法の採用といった建築的特性も確認された。 本課題においては、BITチョールの計画概念が周辺諸地域における公的住宅供給事業に与えた影響の把握も主要な研究目標としている。本年度は旧英国植民地における住宅供給事業記録を予備的に調査し、英領統治下で発展した港湾都市を中心にBITに類似した事業が存在することを確認した。これらを踏まえ次年度以降の本格的な調査実施に向けた体制の構築を図っている。
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