2010 Fiscal Year Annual Research Report
小規模多機能型居宅介護併設の高齢者向け住宅の実態把握と建築計画的留意点の抽出
Project/Area Number |
21760493
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
山口 健太郎 近畿大学, 理工学部, 講師 (60445046)
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Keywords | 小規模多機能型居宅介護 / 地域密着型サービス / 要介護高齢者 |
Research Abstract |
小規模多機能型居宅介護(以下、小規模多機能)は通い、泊まり、訪問という3つのサービスを包括報酬の中で提供できる柔軟性の高い介護保険サービスである。このサービスをより効果的に運用していくためには、利用者のサービス圏域が小範囲であることが望ましい。そこで本研究では、福岡県大牟田市にあるA施設を調査対象とし、サービスと住宅の関係性およびサービス圏域のあり方について検討を行った。調査対象とした大牟田市には、23箇所の小規模多機能が市内全域に整備されており、サービス圏域がほぼ小学校区に限定されている。さらにA施設は高齢化が進む市営住宅に隣接しており、サービスと住宅の関係性を調査しやすい状況にある。 調査方法は、介護記録の閲覧調査および施設管理者に対するヒアリング調査である。なお、調査データの採取に際しては個人情報の保護に留意し、個人名はすべて記号化した。閲覧調査で用いたデータは、2008年9月から2011年1月31日のものである。以下、結果を列挙する。 (1)一般的な通所介護に比べて送迎時間の幅が広く、1回あたりの送迎人数が少ない。(2)10分未満の短時間の訪問介護が頻繁に実施されている。安否確認だけではなく、洗濯物の取り入れや薬の服薬確認など生活援助や看護サービスも実施されている。また、市営住宅とその他の地域との比較では、市営住宅の方がより近い位置に立地しているが、周辺住宅との差は見られなかった。(3)利用者のサービス利用形態は、利用者の身体状況の変化に対応して柔軟に変更されていた。訪問中心型の利用者の身体状況が低下するにつれ、泊まりの頻度を多くするなど利用者の体調や家族の状況に合わせたサービスが提供されていた。以上のように、柔軟なサービス形態とサービス圏域の小規模化により、利用者の1日のリズムに合わせたケアや、体調の変化に対応したケアが実現されていた。
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Research Products
(2 results)