2010 Fiscal Year Annual Research Report
16世紀トスカーナ大公国の祝祭と都市ー1589年の婚礼祝祭と大公国内の都市整備
Project/Area Number |
21760499
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
赤松 加寿江 日本女子大学, 家政学部, 学術研究員 (10532872)
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Keywords | 都市史 / イタリア / 祝祭 / ルネサンス |
Research Abstract |
【内容】 ・調査の時期:平成23年2月(3週間) ・調査地:フィレンツェ、ピサ、リヴォルノ 1589年にフェルディナンド1世と結婚したクリスティーナが、フィレンツェに至るため訪問都市における本研究において、本年度はピサ、リヴォルノを対象に史料収集を行った。ピサは1540年代以降、コジモ1世によって都市の復興整備が進められ、経済、産業、軍事の拠点としてトスカーナ大公国第2の都市として重要視された都市であり、リヴォルノは特にフェルディナンド1世が力を入れた海港都市である。ピサでは、1589年にフィレンツェに向かう途中、ピサで行われた結婚祝祭を詳細に記録したCarvoni,G.の第一次史料を入手し、その際、祝祭の中心となったピサの伝統イベント、ジョコ・デル・ポンテCioco del Ponteに関する史料を渉猟した。リヴォルノでは、フェルディナンドによる海港整備に関する資料を得たほか、16世紀にピサとリヴォルノ両都市間をつなぐ主要運河であったナヴィチェッリ運河の現況を確認した。 【意義】 ・ピサにおける1589年の結婚祝祭に関する史料を入手し、川と橋という都市形状と祝祭との関係に着目、分析を行ったこと。 ・リヴォルノにおける1589年の結婚祝祭の記録は、史料が極めて乏しく、その限界から1589年の結婚祝祭は開催されておらず、訪問都市とはいえ単なる降船港であった可能性が高いことが示されたこと。 【重要性】 ピサにおける1589年の結婚祝祭記録は、トスカーナ大公国内のフィレンツェ以外の都市における記録として極めて希少なものであり、この分析を通じて、トスカーナ大公国における都市祝祭の差異を浮かび上がらせることができた。特に、ジョコ・デル・ポンテというピサの伝統祝祭が、新たな支配者の慶事に際して用いられたことは、都市支配と整備に関する新たな視点をもたらしたことは、本研究課題において重要である。
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Research Products
(3 results)