2011 Fiscal Year Annual Research Report
中世アルメニア正教教会堂建築における壁面装飾意匠に関する研究
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21760500
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
藤田 康仁 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 助教 (00436718)
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Keywords | 中世 / 歴史的建築物 / キリスト教 / アルメニア / 建築技術 / 装飾 / 意匠 |
Research Abstract |
■研究対象地域であるアルメニア共和国において、アルメニア正教のキリスト教建築遺構の調査ならびに現地研究協力者との研究・調査打ち合わせを実施した。9月に実施したアルメニア共和国における調査では、未踏査の遺構として、最初期の遺構であるゾヴニの教会堂の他、昨年度より調査許可の申請を行っていた軍事緩衝地域に所在する中期の遺構バガラン、同じく中期の遺構であるムラヴィアン修道院遺構について、実地調査を行った。また、既に調査を済ませているアラガツォン地方の遺構数棟についても追加調査を行った。各遺構における作業内容としては、とくに壁面装飾をはじめとする細部装飾意匠と、建築構法を考察するための石積みのしかたについて写真撮影・ヴィデオ撮影による記録を行うのと同時に、遺構の現状の確認も行った。また、関係機関との打ち合わせでは、今後の研究協力とその体制について協議した。 ■上記の現地調査から得られた写真データ・ヴィデオ撮影データに基づき、アルメニア共和国のキリスト教建築遺構における壁面装飾の整理を、遺構ごとに進めた。 ■これまでの一連の調査研究で蓄積されているデータと、今回の課題に関わる調査で得られた遺構ごとのデータを統合し、壁面装飾意匠に関する分析を行った。特に今年度は、初期から後期を通じて、外壁面に多く用いられるニッチ状の構成に着目し、構法的・形態的特徴の把握と、その年代的な変化を中心に検討を行った。この分析結果については、2012年4月現在、査読付き投稿論文として準備中である。また、上記の調査成果の一部は、2010年度日本建築学会関東支部研究報告集等に報告されている。また、日本建築学会においては、研究会の形で今回の調査成果の一部を公開し、関連の研究者との研究交流を行った。
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