2011 Fiscal Year Annual Research Report
日本山岳建築史の構築に向けた日本アルプスの山小屋建築に関する調査研究
Project/Area Number |
21760501
|
Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
梅干野 成央 信州大学, 工学部, 助教 (70377646)
|
Keywords | 山岳構築 / 山小屋 / 日本アルプス / 近代登山 / 建築史 |
Research Abstract |
本研究の目的は、山岳に固有な建築文化の歴史的文脈を明らかにし、我が国における山岳建築史の礎を築くことにある。この目的を達成するため、本研究では、以下2点の内容を具体的に把握する。 《研究内容1》日本アルプスの山小屋建築に関する調査研究 《研究内容2》日本山岳建築の史的研究 平成23年度に実施した研究内容は、以下の通りである。 《研究内容1》:日本における近代登山の発祥の舞台となった北アルプスの上高地・槍・穂高地域の山小屋について重点的に建物調査を進めることとし、その他の山小屋については歴史的に重要なものを優先して建物調査を進めることとした。平成23年度に建物調査を終えた山小屋は、涸沢ヒュッテ、北穂高小屋、穂高岳山荘、南岳小屋、ヒュッテ大槍、北沢駒仙小屋、の計6軒である。このうち、涸沢ヒュッテについては、積雪や雪崩などの雪氷被害から建物を保護するため、冬期に仮設される冬囲いについても調査を行い、山小屋における冬囲いの仮設の一具体を把握した。 《研究内容2》:山小屋の建設に関する一具体を把握するため、昨年度に建物調査を終えた槍ヶ岳殺生ヒュッテとヒュッテ西岳を経営する中房温泉の経営者である百瀬孝仁氏が所蔵する史料「百瀬家文書」を調査し、山小屋の建設経緯を把握した。その結果、明治後期から昭和初期にかけて、中房温泉の経営者が、中房温泉と上高地温泉を結ぶ山岳の巡回路を構想し、この巡回路に沿って計15ヶ所に山小屋の建設を計画したことを明らかにした。
|
Research Products
(4 results)