2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21760511
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Research Institution | 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所 |
Principal Investigator |
黒坂 貴裕 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 都城発掘調査部, 主任研究員 (70419901)
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Keywords | 校倉 / 製材 / 組積構造 |
Research Abstract |
本研究は、(1)古代の遺跡から出土した校倉造りの建築部材について、(2)板校倉の構法について、(3)民家建築における校倉造りの地域特性、(4)近代建築技術書にみる校倉造りについて、以上の研究を通じて、古代から近代までの校倉造りの構法について整理することを目的としている。 今年度は、まず(1)について、古代の校木の木取りでは比較的芯持材が多いとされていたが、藤原宮跡(ただし遺物自体の年代は奈良~平安時代)や平城宮跡など遺跡出土の推定校木材などの調査によって、芯去材の事例を増やすことになり、複雑な様相を示す結果となった。次に(3)について、校倉の地域特性の調査研究として、九州地方の事例を調査し、技術の共通性や独自性について確認した。また、(1)・(2)に関わり、中世以降の板校倉の校木についても、木取りについてのデータを蓄積した。(4)については、建築技術書のほかに、現存近代和風建築において校倉造りおよび校倉風意匠の建物を確認し、近代における校倉造りの存在意義を探った。 これまで、時代毎のテーマに基づいて調査をおこない、木取りや接合技術についてデータを蓄積することができた。研究着手に当たって推測していた、技術の多様性と、現代にまでおよぶ途切れることのない校倉造りの歴史を確認することができた。今後は時代を通じた視点を設定することで、既往研究が少なく、謎の多い建築構法であった校倉造りについて、研究を深化させられるという道筋がつけられた。
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