2010 Fiscal Year Annual Research Report
復元設計を方法とする東アジア古代建築の空間及び造形原理の解明
Project/Area Number |
21760512
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Research Institution | Nara National Research Institute for Cultural Properties |
Principal Investigator |
清水 重敦 独立行政法人国立文化財機構 奈良文化財研究所, 文化遺産部, 景観研究室長 (40321624)
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Keywords | 古代建築 / 東アジア / 復元 / 発掘遺構 / 新薬師寺七仏薬師金堂 / 平城宮朱雀門 / 構造原理 / 先史時代建築 |
Research Abstract |
今年度は、主に国内における奈良時代建築の重要発掘遺構の検討及び復元設計と、縄文、弥生、古墳時代における建築技術の再検討をおこなった。 前者については、昨年度より実施してきた想定新薬師寺七仏薬師金堂、平城宮朱雀門の2棟につき、復元設計と既往の案の再考を試みた。平成20年に新たに発掘された新薬師寺旧境内の大型建物(想定新薬師寺金堂)については、平成21年度に作成した復元案を基に、建物の階段、柱間装置、庇の梁行寸法のあり方について考察を深め、論考にまとめた(図書参照)。ここでは、復元案の蓋然性の確保もさることながら、復元設計の過程において得られた建築技術と建築の機能及び意味の関係についての知見を強調している。 平城宮朱雀門については、昨年度に口頭発表した、都城・官衙における門の建築に関する検証作業の一環としておこなった既往の復元の再検討の内容をリファインし、論考にまとめた。朱雀門復元案の再検証に止まらず、門の建築により多様な形式が考えられることを示し、門が出入口であるのみならず内部空間を有する堂であることを具体的に提示した(論文参照)。 後者については、飛鳥・奈良時代以降の建築技術の源流を探る意味で、縄文、弥生、古墳時代における建築技術を、構造原理の面から再検証すべく、発掘調査に基づく建物復元をおこなっている事例を現地調査するとともに、既往の復元諸研究の検証をおこなった。次年度も引き続きこの検証を継続し、先史時代の構造原理に関する論考をまとめる予定である。
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