2011 Fiscal Year Annual Research Report
復元設計を方法とする東アジア古代建築の空間及び造形原理の解明
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21760512
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Research Institution | Nara National Research Institute for Cultural Properties |
Principal Investigator |
清水 重敦 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 文化遺産部, 景観研究室長 (40321624)
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Keywords | 古代建築 / 東アジア / 復元 / 発掘遺構 / 構造原理 / 先史時代建築 / 重層建築 / 門 |
Research Abstract |
今年度は、主に縄文、弥生、古墳時代における建築技術の再検討と、奈良時代建築の重要発掘遺構の構造的観点からの解釈をおこなった。 縄文、弥生、古墳時代における建築技術については、九州北部における発掘調査に基づく建物復元をおこなっている事例を現地調査し、復元案の批判的検証をおこなった。重要部材の出土している長崎県壱岐市原の辻遺跡、佐賀県吉野ヶ里遺跡等を訪問し、出土部材を実見し、風蝕・加工の観察から既往の技術解釈の問題を見出し、新たな見解を得た。この点を踏まえて、現地の復元建物の構法の再検討をおこなった。現在、先史時代の構造原理に関する論考をまとめる作業を継続中である。 後者については、飛鳥から奈良時代の建築遺跡、特に重層建築と門の建築につき、技術的観点からの復元考察を進めている。重層建築については、文献史料の洗い出しと発掘遺構の解釈、そして現存遺構である薬師寺東塔における裳階の構造の再解釈を進めている。古代における重層の意味を、構造、機能、象徴性の各点から考察する論考を、現在準備している。また、先におこなった平城宮朱雀門復元案の再考から論を進め、古代における門の建築全般につき、再検討を進めている。門の建築の構造形式を決める要素として、建築形式、建築群の中での位置、遮蔽装置との関係、の3点を挙げ、文献史料及び発掘遺構を整理し、特徴を分析・整理している。 以上に加え、古代建築の研究史に関する聞き取り、国立歴史民俗博物館所蔵古材の見分をおこなうとともに、これまでの研究成果をまとめた2件の講演をおこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
古代建築の空間・造形原理に関する俯瞰的視野が概ね得られ、現在、縄文~古墳時代、飛鳥時代~奈良時代の技術と空間・造形原理に関する論考をそれぞれまとめている段階である。次年度、これらの論考を完成させ、研究を完了するスケジュールで進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
現地調査及び復元設計を継続的に実施する。 特に復元設計については、図面作成の補助員を雇用し、復元図の作成を集中的に実施し、成果を上げる。
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