2010 Fiscal Year Annual Research Report
第一原理計算に基づいたドーパントレベルの定量化と材料機能設計
Project/Area Number |
21760517
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大場 史康 京都大学, 工学研究科, 准教授 (90378795)
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Keywords | ドーパント / 点欠陥 / 第一原理計算 / 酸化物 / 窒化物 / 半導体 |
Research Abstract |
ドーパントレベルは,半導体ではドナー及びアクセプタのイオン化レベル,3d遷移金属元素や希土類元素を添加した蛍光体や磁性半導体では遷移金属・希土類元素の酸化還元レベルとして,ドーパント由来の電気,光学,磁気特性を制御・設計する上で最も基本的な情報である.その重要性から,ドーパントレベルを実験的に計測するだけでなく,第一原理計算に基づいて予測する試みが古くからなされてきた.しかし,計算に用いられる電子相関の近似と計算モデルの制約により,定量的な評価が十分になされていない.本研究では,これらの問題を克服し,半導体及び絶縁体中のドーパントや空孔などの点欠陥のレベルを,第一原理計算に基づいて定量的に評価する手法を確立することを目的とした.また,フォノンの計算により格子振動の効果を取り入れることで,有限温度下でのドーパント・点欠陥の特性を予測し,ドーパント・点欠陥由来の機能の設計に応用することを目指した. 平成22年度には,前年度に確立した希薄極限でのドーパント・点欠陥のレベルを定量的に評価する手法を,種々のペロブスカイト酸化物や太陽電池用化合物半導体などに応用した.その結果,チタン酸バリウム中の酸素空孔について,ドナーレベルが決定されるとともに,深いドナーとなる準安定状態の存在が予測された.また,銅インジウム二セレン化物などの化合物半導体における各種点欠陥のレベルと電気特性における役割を明らかにした.
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