2009 Fiscal Year Annual Research Report
マルテンサイト変態を利用した新規B2型金属間化合物の高延性化に関する研究
Project/Area Number |
21760521
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
松田 光弘 Kumamoto University, 大学院・自然科学研究科, 助教 (80332865)
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Keywords | 金属物性 / マルテンサイト変態 / 透過型電子顕微鏡 / 金属間化合物 / 高延性化 / 格子欠陥 |
Research Abstract |
金属間化合物の高延性化を図るためマルテンサイト変態を積極的に利用した合金開発等を行うとともに,高延性発現のメカニズムについて検討した. 1. 高延性を有するZrCoNi金属間化合物の微細構造解析 室温にて約23%の破断伸びを有するZr_<50>Co_<39>Ni_<11>(at%)合金について種々の引張残留歪材を作製し、その転位組織を観察したところ、主なすべり系は<100>{001}_<B2>であった。また降伏直後からレンズ状の加工誘起マルテンサイト(B33構造)相が生成し、応力負荷に伴い{100}_<B2>に沿って成長し、格子状の形態となった。それらB33マルテンサイト相はB2母相より硬質であった。B2母相とB33マルテンサイト相は(021)_<B33>//(010)_<B2> (100)_<B33>//(001)_<B2>の方位関係を有していた。また本合金に生成するマルテンサイト相は硬度値、界面の成長、熱ヒステリシス等から判断すると熱弾性・非熱弾性マルテンサイトの両方の特性を兼ね備えていた。 2. 高延性化に向けた新規B2型Zr基金属間化合物の合金組成探査 マルテンサイト変態を有するZr基合金を中心に高延性化に向けた合金組成探査を行った。 (1)Zr_<50>Co_<50-x>Cu_x合金:X=16以上の合金組成において熱誘起によるB19'マルテンサイト相が生成した。Cu置換量の増加に伴い引張強度および伸びが向上し、Zr_<50>Co_<42>Cu_8合金において約10.5%の破断伸びが得られたが、加工誘起マルテンサイト相は生成しなかった。 (2)ZrCoPd合金:Zr_<50>Co_<40>Pd_<10>合金において約18%の破断伸びが得られ、破断材をTEM観察に供したところb=<100>の転位組織に加え、レンズ状の加工誘起マルテンサイト相が生成していた。したがって、Zr基金属間化合物における高延性発現には、マルテンサイト相が深く関係していると考えられる。
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