2010 Fiscal Year Annual Research Report
マルテンサイト変態を利用した新規B2型金属間化合物の高延性化に関する研究
Project/Area Number |
21760521
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
松田 光弘 熊本大学, 大学院・自然科学研究科, 助教 (80332865)
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Keywords | 金属物性 / マルテンサイト変態 / 透過型電子顕微鏡 / 金属間化合物 / 高延性化 / 格子欠陥 |
Research Abstract |
科学技術の発展には必要不可欠な材料である金属間化合物の脆さを克服するため、マルテンサイト(M)変態を積極的に利用した合金開発を行い、高延性発現のためのメカニズム等について調査検討した。 1.高延性化に向けた新規B2型Zr基金属間化合物の合金組成探査 熱弾性M変態を有するZr基合金として、ZrPd合金およびZrPt合金に着目し、CoをPdあるいはPtで置換したZr-Co-Pd合金およびZr-Co-Pt合金の引張特性を調査した。両合金はともに置換量の増加に伴って降伏強度、引張強度および延性が著しく向上し、Zr_<50>Co_<40>Pd_<10>合金においては、降伏強度約380MPa、全伸び約22%(ZrCo合金の約3.5倍)、Zr_<50>Co_<45>Pt_5合金においては、降伏強度約310MPa、全伸び約15%と極めて優れた機械的性質を示した。これら破断部近傍には加工誘起M相が多数生成していた。両合金におけるM相は母相よりも硬質であるため、変形は主に未変態のB2母相において進行すると考えられる。すなわち、一種の変態誘起塑性(TRIP現象)により延性が飛躍的に向上したものと考えられる。 2.マルテンサイト変態によるB2型金属間化合物の高延性化に向けたアプローチ 室温にて脆性を示すTico合金に対し、M変態を有するTiNi合金およびTiPd合金に着目し、coをNiあるいはPdにて置換したTi-Co-Ni合金およびTi-CrPd合金を作製した。Ti_<50>Co_<30>Pd_<20>合金では、降伏強度599MPa、全伸び約4.5%(TiCo2元合金は降伏前に破断)を示し、Ti_<50>Co_<30>Ni_<20>合金においては、降伏強度387MPa、全伸び約7%と優れた延性を有することがわかった。以上のことから、非鉄合金においてもTRIP現象を利用した新しいアプローチにより延性が改善できることが示唆された。
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