2011 Fiscal Year Annual Research Report
精密温度制御を用いた共晶複合セラミックスの組織制御による高温極限環境用材料の創製
Project/Area Number |
21760525
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
堀田 幹則 独立行政法人産業技術総合研究所, 先進製造プロセス研究部門, 研究員 (30431604)
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Keywords | セラミックス / 共晶 / コンポジット / 放電プラズマ焼結 / ラメラ組織 |
Research Abstract |
本研究では、ラメラ組織を有する非酸化物系共晶セラミックス粉末を用いて、焼結助剤無添加で難焼結性物質同士を焼結させ、高純度で、高硬度、高耐熱性、高耐食性を有する緻密な共晶複合セラミックスの創製を行い、その粉末焼結法による精密温度制御を駆使したラメラ組織と三次元構造の制御を施すことによって、高強度化と高靭性化を同時に達成させることで、過酷な極限環境に耐えうる超高温セラミックス材料の創製を目指す。 今年度は、昨年度までに引き続き、ZrB2-SiC二元共晶系において、アーク溶解法でZrB2-SiC共晶粉末を合成し、これを原料粉末として放電プラズマ焼結法で焼成した。なお、比較材として、ZrB2-SiC混合粉末に対しても、放電プラズマ焼結法での同条件で焼成した。作製した緻密なZrB2-SiC共晶複合セラミックスの微細組織の観察、ビッカース硬さと破壊靭性の測定、高温酸化雰囲気下での酸化試験を行った。 ZrB2-SiC共晶粉末から得られた複合セラミックスは、ラメラ組織を有していることが観察され、共晶粉末でのラメラ組織を保持していることがわかった。なお、ZrB2-SiC混合粉末から得られた複合セラミックスは、ZrB2粒子とSiC粒子からなる典型的な複合組織であった。共晶粉末から得られた共晶複合セラミックスの硬さは、混合粉末から得られた複合セラミックスよりも低い値であった。破壊靭性は、混合粉末からの複合セラミックスに比べて、共晶粉末からの共晶複合セラミックスの方が高くなった。耐酸化性については、共晶粉末から得られた共晶複合セラミックスでの重量増加がやや高くなり、耐酸化性が低いことがわかった。また、B4C-SiC二元共晶系においても、上記と同様に、共晶粉末を合成し、これを原料として緻密でラメラ組織を有するB4C-SiC共晶複合セラミックスを作製できた。この共晶複合セラミックスの機械的性質および耐酸化性についても、ZrB2-SiC共晶複合セラミックスの結果とほぼ同様の傾向となった。以上のように、典型的な複合セラミックスの諸特性とほぼ同等であり、共晶複合セラミックスの特異性を見出せなかった。
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