2010 Fiscal Year Annual Research Report
中分子量尿毒素蛋白質を特異的に除去するメソポーラスシリカの開発
Project/Area Number |
21760527
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
干川 康人 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (90527839)
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Keywords | ナノ材料 / 多孔性材料 / 炭素材料 / 生体材料 |
Research Abstract |
規則的なメソ細孔を持つメソポーラスシリカ(以後MPS)は、タンパク質などの生体分子を大量に担持するのに適しており、毒性タンパク質の選択的吸着除去や、バイオリアクターの反応媒体など様々な応用が期待できる。しかしながら、水溶液中、特にアルカリ性雰囲気下での長期耐久性は低く、生体分子を用いた応用は限定されている。このような課題を解決するために、本年度では化学蒸着気相法(CVD)を用いたMPS表面の均一炭素被覆による表面改質を検討した。 一般的にシリカ表面は熱分解炭素堆積の活性が低く、メソ孔を維持したままMPS表面上に薄く均一に炭素被覆するのは困難である。そこで本研究では、シリカ表面の炭素堆積活性を高める方法として、次のような手法を開発した。MCM-41型のMPSにトリメチルシリル化反応によるシリカ表面への有機修飾を行った(以後TMS-MPS)。昇温脱離法を用いた分析から、TMS-MPS表面のメチル基は600℃付近で熱分解することが確認されたことから、シリカ表面に活性の高いSiラジカルが形成していることが考えられる。アセチレン濃度20vol%で600℃、30分間CVDを行ったところ、TMS-MPSの炭素堆積量は、通常のMPSと比較して10倍以上増加した。従って、トリメチルシリル基の熱分解に伴いシリカ表面の炭素堆積活性が大幅に改善されることが示された。炭素被覆量はアセチレン濃度とCVD時間で精密に制御が可能であり、メソ孔内にグラフェン一層分の炭素を被覆したMPSの作製にも成功した。このような炭素被覆MPSは、アルカリ性水溶液(pH9.18)浸漬1週間後もメソ規則構造を維持していることが確認された。 以上より、本研究で開発した手法により、MPS表面の均一炭素被覆に成功した。炭素被覆MPSを用いることで、生体分子を用いたMPSの応用範囲を飛躍的に広げることが可能になった。
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Research Products
(9 results)
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[Presentation] カーボンナノ試験管のナノ空間内でのDNA濃縮2010
Author(s)
干川康人, 寒河江拓也, 菅野康之, 折笠広典, Somlak Ittisanronnach, 井本修平, 和田健彦, 永次史, 京谷隆
Organizer
2010高分子・ハイブリッド材料研究センター若手フォーラム
Place of Presentation
東北大学片平さくらホール(仙台)
Year and Date
2010-12-06
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