2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21760530
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
保科 拓也 Tokyo Institute of Technology, 大学院・理工学研究科, 助教 (80509399)
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Keywords | 強誘電体 / サイズ効果 / ナノ粒子 / 誘電率測定 / 粒子構造 / X線回折 / チタン酸バリウム / 欠陥 |
Research Abstract |
チタン酸バリウム(BaTiO_3)微粒子の表面は粒子内部と異なる構造を持ち,粒子径が小さくなった場合には表面の効果によって誘電率が大きく変化すると考えられる.本研究では強誘電体微粒子における粒子構造に着目し,ペロブスカイト型強誘電体微粒子の粒子構造と誘電特性の関係について明らかにすることを目的としている. 本年度は,様々な強誘電体微粒子の誘電率を高精度に測定するために,微粒子の誘電率測定法の改良を行なった.結果的に3種類の分散媒を使用してスラリーを作製し,その複素インピーダンススペクトルを解析することにより,比誘電率300以上の微粒子について測定が可能となった.この方法によりBaTiO_3, (Ba,Sr)TiO_3, (BaCa)TiO_3ナノ粒子の誘電率測定を試みた.その結果,(Ba,Sr)TiO_3や(Ba,Ca)TiO_3の場合はBaTiO_3の場合よりもサイズ効果による誘電率の低下が小さいことが明らかになった.微粒子のX線回折プロファイルを複合構造モデルに基づき解析したところ,(Ba,Sr)TiO_3や(Ba,Ca)TiO_3では低誘電率層と考えられる表面立方晶層の厚さが比較的薄いことわかった.すなわち,SrやCaの添加によって表面層の厚さを制御できる可能性が示唆された.今後微粒子における添加物の効果についてさらに詳しく調査し,欠陥の効果についても検討を行なうことによって,微粒子の誘電率を粒子構造によって理解できると考えられる.
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