2009 Fiscal Year Annual Research Report
混合ガス窒化法を利用した三元系強相関遷移金属窒化物の機能探索
Project/Area Number |
21760531
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
和氣 剛 Kyoto University, 工学研究科, 助教 (50463906)
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Keywords | 遷移金属窒化物 / 非フェルミ液体 / メタ磁性転移 / η-カーバイド |
Research Abstract |
本研究の目的は、混合ガス窒化法により合成した遷移金属窒化物の機能探索であり、平成21年度は、η-カーバイドFe3Mo3Nの基礎物性評価を行った。これまでFe3Mo3Nは、前駆体のアンモニア反応により合成されていたが、前駆体の合成は容易でなく、かつ危険なアンモニアガスを用いなければ得られなかった。混合ガス窒化法により、良質なFe3Mo3Nが容易に得られることが明らかとなったため、詳細な物性探索を行った。これまで、Fe3Mo3Nは120Kにおいて反強磁性秩序するという報告がなされていたが、中性子回折及びメスバウア分光を行った結果、本物質は最低温度まで長距離秩序が存在しないことを明らかにした。また極低温における、比熱及び電気抵抗率測定を行ったところC/Tが-logTで発散的な振る舞いを示し、ρは温度の5/3のべキに従う非フェルミ液体的振る舞いが観測された。本物質が化学修飾や物理圧力による調整をせずに強磁性量子臨界点近傍の振る舞を示す極めて珍しい物質であることを明らかにした。本物質における非フェルミ液体的挙動に関する成果は、J.Phys.Soc.Jpn誌上で公表し、JPSJ誌の2010年4月号の注目論文に選出された。また本系においては、非フェルミ液体的挙動のみではなく、遍歴電子メタ磁性転移が起こることを強磁場磁化測定により明らかにしており、次年度は磁場中での状態についてより詳細な研究を行う予定である。
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Research Products
(4 results)