2010 Fiscal Year Annual Research Report
混合ガス窒化法を利用した三元系強相関遷移金属窒化物の機能探索
Project/Area Number |
21760531
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
和氣 剛 京都大学, 工学研究科, 助教 (50463906)
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Keywords | 遷移金属窒化物 / η-カーバイド / HIP / 幾何学的フラストレーション |
Research Abstract |
Fe3Mo3Nは、極低温で長距離秩序を示さず強磁性量子臨界点近傍の非フェルミ液体的挙動を示すことを明らかにしている。平成22年度は、Fe3Mo3Nのより詳細な物性を探索、関連物質の機能探索、Fe3Mo3Nの単結晶育成を予定していた。Fe3Mo3Nの物性をより詳細に調べた結果、14T付近で非常に鋭い遍歴電子メタ磁性転移を起こすことを明らかにした。またFeをCoで置換する混晶系を作成したところ、Fe3Mo3NとCo3Mo3Nは常磁性体であるにもかかわらず、ごく少量の置換で強磁性が誘起されることを明らかにした。Fe3Mo3Nにおける長距離秩序の抑制は、幾何学的フラストレーションと関連があると考えられる。Fe3Mo3Nを高圧下で加熱したところ1600℃まで分解しなかったが溶融させることは出来なかった。また、Co3Mo3Nはパウリ常磁性体であるが、窒素を炭素に置き換えた試料の磁性を調べたところ、帯磁率にブロードなピークが見られ、これも30T付近で遍歴電子メタ磁性転移を起こすことがわかった。Fe3Mo3Nは酸化物原料を水素窒素混合ガス中で還元と窒化を同時に起こして得られるが、この手法はタングステン系化合物には有効でないことがわかった。Fe-W-N系化合物の探索のため、hot isostatic press (HIP)法を使い、高圧窒素下で単体金属を反応させることで、Fe3W3N、Fe6W6Nが直接合成できることを初めて明らかにした。また、Fe3W3NはTC=110Kの強磁性体、Fe6W6NはTN=75Kの反強磁性帯であることがわかった。また関連物質である炭化物Fe3W3C,Fe3Mo3C,Fe6W6C,Co6Mo6C,Co6W6C,Ni6Mo6C,Ni6W6Cの合成及び物性評価を行い、Fe3W3C,Fe6W6C,Co6W6Cでは、反強磁性転移と思われる異常を始めて確認した。
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Research Products
(6 results)