2011 Fiscal Year Annual Research Report
混合ガス窒化法を利用した三元系強相関遷移金属窒化物の機能探索
Project/Area Number |
21760531
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
和氣 剛 京都大学, 大学院・工学研究科, 助教 (50463906)
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Keywords | 遷移金属窒化物 / n-カーバイド / 遍歴電子メタ磁性転移 / 非フェルミ液体 / 幾何学的フラストレーション / Fe3Mo3N |
Research Abstract |
申請者は上記研究において-カーバイド型化合物Fe3Mo3N及び(Fel-xCox)3Mo3Nの合成に取り組み、包括的な物性評価を行った。Fe3Mo3Nはこれまで合成報告がなされていたものの、物性は殆ど知られていなかった。申請者らの研究により、本化合物は極低温まで磁気秩序しない一方で、電気抵抗率が温度の5/3乗のべきに従い、比熱を温度で割ったC/Tが-logT的に発散する非フェルミ液体的な挙動を示すことを明らかにした。これは、本物質が三次元量子臨界点近傍の物質であることを示唆しており、実際、Coとの混晶により強磁性(最大20K)が発現し、また磁場中で遍歴電子メタ磁性転移を起こすことも明らかにした。しかし、得られた磁場、組成、温度相図は、従来知られている遍歴電子強磁性体のものとは異なり、磁場誘起強磁性相と不純物誘起強磁性相が完全に分離している。Fe3Mo3Nは中性子散乱の結果反強磁性的な相関が発達しており、この異常な相図は、Fe3Mo3Nにおいて強磁性長距離秩序がフラストレーションにより抑制され出現したものと考えられる。また関連物質の探索も行った。混合ガス窒化法は適用できる元素が限られており、より直接的な窒化法として熱間等方圧加圧法に着目し、金属の直接窒化によりFe3W3N及びFe6W6Nが合成できることを明らかにした。それぞれは遍歴電子磁性体であり、Fe3W3Nは110Kで強磁性転移し、Fe6W6Nは75Kで反強磁性転移することを明らかにした。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] HIP synthesis of η-carbide-type nitrides Fe3W3N and Fe6W6N and their magnetic properties2011
Author(s)
Takeshi Waki, Shinsuke Terazawa, Yoshikazu Tabata, Yasushi Murase, Masaki Kato, Ken Hirota, Shugo Ikeda, Hisao Kobayashi, Keisuke Sato, Koichi Kindo, Hiroyuki Nakamura
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Journal Title
J.Alloys Compd.
Volume: 509
Pages: 9451-9455
DOI
Peer Reviewed
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