2009 Fiscal Year Annual Research Report
光誘起転位構造を利用した透明材料への金属ナノ細線の作製
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21760532
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
兼平 真悟 Kyoto University, 産官学連携センター, 産学官連携助教 (30437248)
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Keywords | サファイヤ / ルビー / フェムト秒レーザー / 格子欠陥 / 拡散 |
Research Abstract |
セラミックス基板内部に導電性ナノ細線を作製する上で重要となるのは、セラミックス内部に形成する構造欠陥の形態を詳細に把握することである。まず最初に、人工的に構造欠陥を導入するプロセスでフェムト秒レーザーを使用し、集光領域に形成する欠陥形態(転位、積層欠陥、双晶、クラックなど)の同定を行う。まず、セラミックス基板としてサファイヤ基板(Al203)やルビー(Cr:Al203)を選択し、フェムト秒レーザー光を対物レンズを用いて結晶内部に集光照射した。レーザー照射領域に形成した欠陥の構造解析を、FE-SEM、EPMA、顕微ラマン分光、TEM等を用いて行った。 ルビー内部に集光した領域についてTEMを用いて分析した結果、中心部は結晶からアモルファスに相変態している様子を確認した。これは、瞬間的に発生した高温・高圧状態により結晶構造が乱れ、そのままの状態で凍結された結果である。そして、中心部からナノサイズの幅を有するクラックが特定方向に伸びる様子を確認した。クラックの方向は、結晶学的に予測される方向と一致していた。ラマン分光器を用いて照射領域のひずみを計算した結果、約0.1GPa程度のひずみが残留していることを確認した。 次に、サファイヤ内部への金属イオンの拡散挙動を調査した。サファイヤ基板にレーザー光を集光し、集光点を直線状にスキャンすることで直線状構造欠陥を形成した。そして、基板全体をCr203粉末で覆って一軸成型器で押し固めた上で、1000~1300℃にて熱処理を施した。欠陥領域にCr3+イオンが選択的に拡散しており、694nm付近の発光が確認されたことから、微小領域においてルビーが形成していることを確認した。そして、熱処理条件を変化させ、拡散領域を詳細に調査した結果、レーザーにより形成したナノクラックが相転移により元の結晶構造に戻る際に、Cr3+イオンが表面拡散により効果的に結晶内部に拡散したことを確認した。
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