2010 Fiscal Year Annual Research Report
高強度・高弾力性を持つハイドロキシアパタイト/カーボンナノチューブ複合体の創製
Project/Area Number |
21760538
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 義倫 東北大学, 大学院・環境科学研究科, 准教授 (30374995)
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Keywords | カーボンナノチューブ / ハイドロキシアパタイト / 高分散 / 放電プラズマ焼結法 / 高強度 / 高弾性 / 複合体 / 擬似体液 |
Research Abstract |
カーボンナノチューブ(CNTs)とセラミックスの複合材料の大きな問題点は、既成のセラミックスとCNTsを混合して複合材を作製するために、母材のセラミックス内のCNTsの不均一分散による「CNT凝集体とセラミックスの界面でのすべり」が生じ、CNTの機械強度が反映されないことである。この問題点を解決するために、それぞれ1本のナノチューブに均一に無機物質を担持させたものを焼結させるという概念を考えた。そこで、(1)1本1本にハイドロキシナノアパタイト(hvdroxylapatite;HA)を満遍なく担持させるために、フッ素化MWCNTに注目し、(2)ハイドロキシナノアパタイト/MWCNTを焼結するのに、放電プラズマ焼結法(spark plasma sintering;SPS)に注目した。上記2つの特徴を組み合わせ、本研究では、1本1本のフッ化MWCNT表面にハイドロキシナノアパタイトを核成長させ、放電プラズマ焼結法により、圧力をかけて熱処理を行うことにより、軽量でナノチューブの曲げ強度が生かされた生体骨に近い「ハイドロキシアパタイト/MWCNT複合体」を作製し、代替生体材料としての機能を探索することを目的とした。 平成21年度で得られた結果(負の極性を帯びるフッ素置換基は擬似体液のイオンが吸着してしまい、HAの化学量論に必要な原子数に過不足を生じ、HAを合成できない)をもとに、平成22年度は"正と負"の極性を持つ官能基(アミド基)を修飾させたMWCNTsを合成し、1本1本のMWCNTにHAを満遍なく担持させることを試みた。アミド修飾されたMWCNTsにはHAが疎らに担持され、このHA/MWCNTsをSPSで固化した複合体の3点曲げ強度とヤング率は120MPa、15GPaであった。HAのみの焼結体の3点曲げ強度、ヤング率は100MPa、100GPaであるため、HA/MWCNTs複合体は"しなり易さ"が向上していることがわかる。平成23年度(震災繰り越しによる延長)は、もうワンランク上の"しなり"の向上を目指すためには、さらなる1本1本のMWCNTにHAを満遍なく担持させる必要がある。そこで、フランスのCNRS(ストラスブール)のアルベルト・ビアンコ博士から教えていただき、生理活性水に高分散するリン酸官能基を修飾したMWCNTs(PO_4-MWCNTs)を設計・合成した。現在はPO_4-MWCNTsにHAの担持を試みており、HA/PO_4-MWCNTs複合体の作製を行う予定である。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] Internal distribution of micro-/nano-sized ceramics and metals particles in mice2010
Author(s)
Shigeki Abe, Ikuhiro Kida, Mitsue Esaki, Nobuki Iwadera, Mami Mutoh, Chika Koyama, Tsukasa Akasaka, Motohiro Uo, Yoshinori Kuboki, Manabu Morita, Yoshinori Sato, Koichi Haneda, Tetsu Yonezawa, Balachandran Jeyadevan, Kazuyuki Tohji, Fumio Watari
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Journal Title
Journal of Ceramics Society of Japan
Volume: 118
Pages: 525-529
Peer Reviewed
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