2010 Fiscal Year Annual Research Report
エレクトロスピニングを利用したチタニア-カーボン複合ナノファイバーの開発
Project/Area Number |
21760539
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
長嶺 信輔 京都大学, 工学研究科, 准教授 (30335583)
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Keywords | ナノファイバー / エレクトロスピニング / 複合材料 / チタニア / カーボン / コア-シェル構造 |
Research Abstract |
本研究では、研究代表者が考案した無機中空ファイバー作製法を応用し、コア-シェル型カーボン-チタニア複合ファイバーの作製、および色素増感太陽電池電極としての利用について検討している。前年度は紡糸液に炭素源としてスクロースを添加し、複合ファイバーを作製したが、この方法では紡糸液の粘度が高くなるために、ファイバーが太くなる、チタニア殻が薄くなる、安定な紡糸が困難になる等の問題が生じた。そこで平成22年度は、この問題の解決策として、紡糸に用いる高分子をカーボン源とする新たな手法の開発に取り組んだ。本手法で用いる高分子の要件として、水溶性であること、および炭素化が可能であることが挙げられ、これらを満たす高分子として今回はポリビニルアルコール(PVA)を選択した。PVAは熱分解が起こり易くカーボン化は困難であるが、ヨウ素蒸気を触媒とした脱水反応によりカーボン化が容易なポリエンに転換できることが報告されている。具体的な手順として、PVA水溶液をエレクトロスピニングし、糸状液滴をチタンテトライソプロポキシド(TTIP)溶液へと噴入することにより、界面でのTTIPの加水分解を誘起しPVA-チタニア複合ファイバーを作製した。このファイバーをヨウ素蒸気に暴露しPVAの脱水処理を行った後、窒素中での熱処理により高分子コアのカーボン化とチタニア殻の結晶化を同時に進行させ、カーボン-チタニア複合ファイバーを作製した。SEM、TEM観察により、試料が直径100-300nmのコア-シェル型ファイバーであることを確認した。また、IR、ラマン分光、XRDにより、コアが部分的にグラファイト化したカーボン、シェルがアナターゼ型チタニアであることを確認した。このファイバーの導電性を測定したところ、同じ直径のチタニア中空ファイバーに比較して10^4倍以上の値を示し、カーボンとの複合化によりチタニアに高い電荷輸送特性を付与できることを明らかにした。
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Research Products
(2 results)