2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21760540
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
梶原 隆司 九州大学, 工学府, 技術職員 (80423507)
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Keywords | 傾斜機能 / 重力場 / レーザーアブレーション / 低融点材料 / 高速度撮影 |
Research Abstract |
高重力場の効果とレーザーアブレーション法とを組み合わせたGAPLA法による組成傾斜薄膜の作製に関して研究を行っており、平成22年度は、ターゲット材料としてAl-Cu合金を選択し、低融点材料のレーザーアブレーション実験を行っている。前年度までにターゲット加熱によってアブレーションプルームの発光強度が変化することがわかった。 これはターゲット加熱がアブレーションに対して何らかの影響を与えていることを示唆していると考えている。今年度も引き続きアブレーション閾値の低下を確認すべく、ターゲット常温時および加熱時におけるアブレーションプルームの発光観測をいくつかのレーザーフルエンスを用いて行った。その結果、アブレーション閾値の低下は確認することはできなかった。200℃程度のターゲット加熱ではアブレーション閾値の低下は起こらないということである。 また、このGAPLA法で生じる組成傾斜プロセスについて、当初は拡散によるものであると考えていたが、研究の進展により拡散では説明できないという結論に至った。これは得られた物質の組成傾斜の大きさが、拡散理論では説明できないほどの大きさであったためである。組成傾斜が薄膜構成材料の拡散によらないのであれば、基板加熱の効果は期待できない。また、ターゲット加熱に関しても、今以上の加熱は困難である。ただ、低融点のAl-Cu合金における組成傾斜の度合いは、高融点材料と比較するとかなり小さいことは明らかであり、今後は他の低融点材料についても同様の薄膜作製実験を行い、材料の融点と組成傾斜との関連を調査し、より小さな重力場下での組成傾斜薄膜、および得られる薄膜の構造制御の可能性を探究していく。
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