2009 Fiscal Year Annual Research Report
無機複合緻密体による放射性ヨウ素固定化システムの開発
Project/Area Number |
21760541
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Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
渡辺 雄二郎 Kanazawa Institute of Technology, 生活環境研究所, 研究員 (60410297)
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Keywords | セラミックス / 廃棄物処理 / 複合材料・物性 / 構造・機能性材料 / 環境材料 |
Research Abstract |
本研究では、これまでの無機複合体(ゼオライト/アパタイト複合体)を用いた一連の放射性ヨウ素固定化システムに関する検討項目を基として各プロセスを最適化し、現在提案されているガラス固化に替わる次世代の安全・安心な放射性ヨウ素固定化システムの開発を行う。2009年度にはヨウ素固定化技術の確立を目的に、アパタイト被覆方法に関して蓄積してきたデータを基に、(1)ゼオライト構造・組成の最適条件、(2)アパタイト被覆条件の最適条件を検討し、ヨウ素吸着量の向上および、アパタイト被覆量・形態の制御を行った。以下にそれぞれの結果を記す。 (1)ゼオライト構造・組成の最適条件の検討:6種のCa型ゼオライトを用いてヨウ素の吸着挙動を評価した結果、FAU型とLTA型ゼオライトが高い吸着能を有することを明らかにした。また6種のAg型ゼオライトの吸着能を評価した結果、細孔径の大きいFAU型ゼオライトでは吸着量の大きな向上が見られたが、他のゼオライトでは吸着量が減少することが分かった。しかしSEM観察の結果から、FAU型ゼオライト中のAgは細孔中だけでなく表面にも析出することが分かり、水酸アパタイトとの複合化に適さないことが示唆された。 (2)アパタイト被覆条件の検討:水酸アパタイトはいずれのゼオライトにおいても一定量被覆可能であることが分かった。またLTA型合成ゼオライトのアパタイト被覆は40℃、8時間の条件が最適であることが分かり、ヨウ素を保持したままゼオライト表面を均一に水酸アパタイトの針状結晶や板状結晶で覆うことに成功した。さらに熱安定性試験では950℃までヨウ素をゼオライト中に保持でき、一部のヨウ素に関しては1200℃付近まで保持できることが明らかになり、この高温領域までのヨウ素の安定保持は200℃付近でのゼオライトのアモルファス化現象に起因することが示唆された。
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