2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21760544
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
和田 武 Tohoku University, 金属材料研究所, 助教 (10431602)
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Keywords | バルク金属ガラス / ジルコニウム合金 / 生体材料 |
Research Abstract |
平成21年度は比較的細胞毒性が低いと思われるZr-Al-Co基バルク金属ガラスの作製を中心に研究を行った。三元共晶組成、Zr_<56>Al_<16>Co_<28>にNbを添加した際のバルク金属ガラスの形成の有無および耐食性の変化を調べた。その結果、Nbを4.5%添加しても約15mmのバルク金属ガラスが作製できることを確認した。また、Nbを添加したZr-Al-Coバルク金属ガラスは孔食電位が無添加材よりも増大したことから、Nbの添加が耐食性の改善に有効であることがわかった。この金属ガラスを擬似生体液に浸漬した際のCoイオン溶出量を、商用Co基生体合金であるCo結晶合金と比較した。37℃において10mlのHanks液にサンプルを7日間浸漬すると、Co-Cr-Mo合金からのCoイオン溶出量は約5.7ng/mm^2であるのに対し、Zr-Al-Co金属ガラスからの溶出量は、分析法の検出限界以下と極めて小さいことが分かった。この結果からZr-Al-Co基金属ガラスのCoイオン溶出による毒性は低いことが予想される。 また、Zr-Al-Co基金属ガラスの生体活性化のための初歩的的実験として、Zr-Al-Co基金属ガラスを用いて水熱電気化学処理を行った。水酸化ナトリウム水溶液を用いて90℃、2mA/cm^2で1時間、処理することによって、Zr-Al-Co基金属ガラス表面にナトリウムを含むCo酸化物が形成した。このようにして表面処理した金属ガラスをHanks液に14日間浸漬すると、試料表面が水酸化アパタイトで覆われ、生体活性化に成功した。これにより、Zr-Al-Co基金属ガラス表面の生体親和性が高まり、金属と生体組織との接合が促進されると期待される。
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