2009 Fiscal Year Annual Research Report
ミスフィット層状熱電変換化合物の構造非整合性と伝導イオンの価数揺動イメージング
Project/Area Number |
21760545
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
湯葢 邦夫 Tohoku University, 金属材料研究所, 助教 (00302208)
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Keywords | ミスフィット化合物 / 層状構造 / 電子顕微鏡 / 熱電変換 / 実空間イメージング |
Research Abstract |
巨大熱電能や超伝導など、様々な電子・磁気物性が発現するミスフィット系層状化合物の構造非整合性と伝導層中の金属イオンの価数揺動が輸送特性および磁気特性に及ぼす影響を検証した。ミスフィット層状酸化物Bi-(Sr,Ba,Ca)-(Co,Rh)-Oの化学組成とミスフィット比からの構造式の導出にあたって、岩塩型層の金属イオンサイトにおけるintermixingを導入した。(1)Bi-O層へのアルカリ土類金属置換。(2)(Co,Rh)-O層へのBiイオン置換。その結果、化合物中の電荷中性を保つために、岩塩型層中への過剰酸素が導入されると結果となった。Bi,アルカリ土類金属,酸素の平均価数を、それぞれ+3,+2,-2価と仮定すると、電気伝導を担うCo,Rhの価数は、+3.3価に近い値をとることが明らかになった。これらの値は、g-Na_xCoO_2や[Ca_2CoO_3]_<0.62>CoO_2が示すCo:+3.3価と非常に近いことから、ミスフィット層状酸化物Bi-(Sr,Ba,Ca)-(Co,Rh)-Oでも、+3と+4価の混合価数状態に起因する大きなゼーベック係数を示すことが期待されることを示した。また、高分解能像で示した変位型変調構造を要因が、岩塩型層中の過剰酸素であることを明らかにした。フラックス合成されたK_xRhO_2単結晶の輸送特性と非整合構造の相関について明らかにした。また、熱電変換材料として非常に期待され、低温での多重磁気相転移を示すホウ化物層状化合物TmAlB_4に注目し、高分解能電顕観察およびHAADF-STEM観察を行なった。
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