2010 Fiscal Year Annual Research Report
ミスフィット層状熱電変換化合物の構造非整合性と伝導イオンの価数揺動イメージング
Project/Area Number |
21760545
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
湯葢 邦夫 東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (00302208)
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Keywords | ミスフィット化合物 / 層状構造 / 電子顕微鏡 / 熱電変換 / 実空間イメージング |
Research Abstract |
巨大熱電能や超伝導などエキゾチックな電子・磁気物性が発現する構造非整合周期性をもつミスフィット系層状化合物の結晶構造と伝導層中の金属イオンの価数揺動が輸送特性および磁気特性に及ぼす影響を検証した。 1)熱電層状化合物として代表的なNa_xCoO_2化合物の基礎物性を探索した。イオン交換法により精密なNa組成のコントロールが可能な合成法の確立に成功した。合成した種々のNa組成の試料に対して、磁気帯磁率測定,比熱測定およびDSC(示差走査熱量)測定から詳細な相図を決定した。この相図は、この後のこの系の研究の進展に非常に重要な情報になる。 2)化学的な安定性から中温域から高温域での熱電変換材料として期待される非整合周期構造を有するチムニー・ラダー構造を持つMnSi_γ系について、輸送特性へのMnサイトの置換効果を調べた。価電子数(VEC)概念に基づいてp型からn型に変移する組成を予想し、実験的に確認した。この結果からMnSi_γ系が、電子化合物であることが明らかになり、この系の材料設計指針を得た。加えて、フラックス合成法で作製した単結晶を用いた精密結晶構造解析から電子密度分布を決定し、Siサイトの変位を明らかにした。 3)熱電変換材料として注目され、低温での多重磁気相転移を示すホウ化物層状化合物TmAlB_4に着目し、高分解能電顕およびHAADF-STEM観察で直接観察された「tiling defect」と磁気特性の相関について詳細な検討を行なった。
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Research Products
(17 results)