2009 Fiscal Year Annual Research Report
配向制御による酸化セリウムー酸化鉄系自動車排ガス助触媒の性能向上
Project/Area Number |
21760546
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
塗 溶 Tohoku University, 金属材料研究所, 助教 (80396506)
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Keywords | 排ガス助触媒 / セリア薄膜 / 配向制御 / レーザーCVD / 酸化鉄 |
Research Abstract |
自動車排ガスに含まれる有害ガスのCO、HCおよびNO_Xを同時に効率よく浄化するために、三元触媒の貴金属触媒近傍の雰囲気変動を精密に制御しなければならない。CeO_2は、蛍石型構造であり、価数を容易に変化できることから、酸素吸放出能に優れ、自動車排ガス浄化助触媒材料として期待される。触媒反応の高効率化のためには、羽毛状組織などの大きな比表面積を有し、高反応効率の結晶面(100)に配向したCeO_2膜が求められる。そこで、本研究では、微細構造制御に優れ、成膜速度の速いレーザーCVD法を用いてCeO_2膜の高速合成を試み、結晶配向、微細組織および成膜速度に及ぼすレーザー出力(P_L)、成膜温度(T_<dep>)、予熱温度(T_<pre>)および反応室内全圧(P_<tot>)などの成膜条件の影響を調べた。レーザーCVD装置(半導体レーザー、波長808nm)を用い、Ce(dpm)_4有機金属錯体によりCeO_2膜を合成した。P_<tot>=0.8kPaでは(100)配向した膜は、広い成膜条件下で得られた。しかし、T_<pre>=673~873K、P_L=0Wの条件下においてもCeO_2単相膜が得られたが、膜の結晶性が低く、無配向であり、カリフラワ状の微細組織を示した。従って、レーザー照射は高結晶性膜の作製に効果があり、また膜の配向制御に優れることがわかった。P_<tot>=0.8kPa、T_<pre>=673K、P_L=50Wで合成した膜の断面SEM写真を示す。ピラミッド状のファセットが生成し、最も顕著な羽毛状組織を有する柱状晶膜が生成した。P_<tot>=0.4~0.8kPaいずれの場合でも、T_<pre>およびP_Lの上昇につれてCeO_2膜は柱状晶から緻密膜へと変化した。P_<tot>の減少につれて、(100)に配向した膜はより高いP_LおよびT_<pre>の条件下で生成した。P_<tot>の減少につれて多様に配向した膜が得られた。自動車排ガス浄化触媒は、一般に600~1200Kの高温域で使用されるため、羽毛状組織の熱的安定性を調査した。羽毛状組織は、T=873~1073K、50hの熱処理後においても変化は見られなかった。
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