2010 Fiscal Year Annual Research Report
配向制御による酸化セリウム-酸化鉄系自動車排ガス助触媒の性能向上
Project/Area Number |
21760546
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
塗 溶 東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (80396506)
|
Keywords | 排ガス助触媒 / セリア薄膜 / 配向制御 / レーザーCVD / 酸化鉄 |
Research Abstract |
自動車排ガスに含まれる有害ガスのCO、HCおよびNO_xを同時に効率よく浄化するために、三元触媒の貴金属触媒近傍の雰囲気変動を精密に制御しなければならない。CeO_2は、蛍石型構造であり、価数を容易に変化できることから、酸素吸放出能に優れ、自動車排ガス浄化助触媒材料として期待される。触媒反応の高効率化のためには、羽毛状組織などの大きな比表面積を有し、高反応効率の結晶面(100)に配向したCeO_2膜が求められる。CeO_2-ZrO_2固溶体中では、Ce^<4+>近傍にイオン半径の小さいZr^<4+>(8配位のZr^<4+>:0.084nm)が存在するため、格子が拡張しやすくなり、原子価変化が起きやすくなることは知られている。CeO_2にさらに小さな遷移金属イオン(8配位のFe^<3+>:0.078nm)を固溶することによってCeイオンの原子価がさらに変化しやすくなると期待される。Feなどの遷移金属イオンの原子価は変化できることから、CeO_2-Fe_2O_3固溶体はCeO_2-ZrO_2固溶体よりも高いOSC能を有することが期待される。そこで、本研究では、レーザーCVD法を用いてCeO_2-Fe_2O_3固溶体膜の高速合成を試み、結晶配向、微細組織および成膜速度に及ぼすレーザー出力(P_L)、成膜温度(T_<dep>)および反応室内全圧(P_<tot>)などの成膜条件の影響を調べた。レーザーCVD装置を用い、Ce(dpm)_4およびFe(dpm)_3有機金属錯体によりCeO_2-Fe_2O_3固溶体膜を合成した。P_<tot>=0.8kPa、P_L=0-50WではCeO_2-Fe_2O_3固溶体膜が無配向であったが、P_L=50-150Wでは(100)配向したCeO_2-Fe_2O_3固溶体膜が得られた。P_L=200Wでは、膜はまた無配向になった。成膜速度は最大で約100μm/hであった。(100)配向したCeO_2-Fe_2O_3固溶体膜は羽毛状構造を有し、大きな比表面積を有することが示唆される。
|