2011 Fiscal Year Annual Research Report
配向制御による酸化セリウム-酸化鉄系自動車排ガス助触媒の性能向上
Project/Area Number |
21760546
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
塗 溶 東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (80396506)
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Keywords | 排ガス助触媒 / セリア薄膜 / 配向制御 / レーザーCVD / 酸化鉄 / 固溶体膜 |
Research Abstract |
CeO_2は、蛍石型構造であり、価数を容易に変化できることから、酸素吸放出能に優れ、自動車排ガス浄化助触媒材料として期待される。触媒反応の高効率化のためには、羽毛状組織などの大きな比表面積を有し、高反応効率の結晶面(100)に配向したCeO_2膜が求められる。CeO_2-ZrO_2固溶体中では、Ce^<4+>近傍にイオン半径の小さいZr^<4+>(8配位のZr^<4+>:0.084nm)が存在するため、格子が拡張しやすくなり、原子価変化が起きやすくなることは知られている。CeO_2にさらに小さな遷移金属イオン(8配位のFe^<3+>:0.078nm)を固溶することによってCeイオンの原子価がさらに変化しやすくなると期待される。Feなどの遷移金属イオンの原子価は変化できることから、CeO_2-Fe_2O_3固溶体はCeO_2-ZrO_2固溶体よりも高いOSC能を有することが期待される。そこで、本研究では、微細構造制御に優れ、成膜速度の速いレーザーCVD法を用いてCeO_2-Fe_2O_3固溶体膜の高速合成を試み、結晶配向、微細組織および成膜速度に及ぼすレーザー出力(P_L)、成膜温度(T_<dep>)、予熱温度(T_<pre>)および反応室内全圧(P_<tot>)などの成膜条件の影響を調べた。レーザーCVD装置(半導体レーザー、波長808nm)を用い、Ce(dpm)_4およびFe(dpm)_3有機金属錯体によりCeO_2-Fe_2O_3固溶体(Ce_<1-x>Fe_xO_<2-δ>)膜を合成した。Ce_<1-x>Fe_xO_<2-δ>膜にCeO_2の固溶限はx=0.15であった。x=0.02では、Ce_<1-x>Fe_xO_<2-δ>膜が(100)に強く配向したが、x=0.15では、無配向でした。XPS分析により、Ce_<1-x>Fe_xO_<2-δ>膜中では、Ceイオンは3価と4価共存していたが、Feイオンはすべて3価であった。Ce_<1-x>Fe_xO_<2-δ>膜の最大成膜速度は約100μm/hであり、羽毛状構造を有し、大きな比表面積を有することが示唆される。
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