2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21760551
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
村石 信二 Tokyo Institute of Technology, 大学院・理工学研究科, 助教 (70345156)
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Keywords | 応力 / ひずみ / 力学発光 |
Research Abstract |
力学発光素子の開発にあたり、これまでの進捗を1) 材料の選定、2) 薄膜蒸着,3) 薄膜の変形組織にまとめ以下に述べる。 1) 良好な発光特性が報告されるZnS系に着目し、ZnS微粒子を混合したエポキシ系接着剤をアクリル試験片に塗布、インストロン型試験機にて単純せん断試験に供した。不純物を含まないZnSは体積率(20~50%)の増加によらず発光が確認されず、イオン結晶であっても発光中心となる微量添加元素Mn等の添加は必須であることが分かる。また蓄光微粉末(アルミン酸ストロンチウム)を混合した残光性による輝度の向上について検討中である。 2) ZnS薄膜の合成には、イオンビームスパッタ(Zn、ZnSターゲット)、イオン注入法(S^+)を用いた。基板を電極としないイオンビームスパッタの特徴により、Si基板を含め、Al箔・カプトン有機膜に蒸着したZn、ZnS : Mn薄膜は、非常に滑らかな表面性状と良好な密着性を示し剥離が観察されないことから、いずれの基板についても蒸着が可能であると思われる。繰り返し疲労の観点から多層化が望まれるが、多層膜(基材/(M/ZnS)n)におけるバッファ層(M : Al,Zn,AlN)、それら結晶配向性への影響については、現在遂行中である。 3) 薄膜材料の繰り返し変位場では、素子と基材との弾塑性特性の相違に起因したクラックの進展・剥離が問題となり、荷重・変位場の伝播を阻害する。微小押込み試験を用いて塑性変形組織を観察した結果、脆性材料(ZnS)に特徴的な局所的なクラックの進展が、延性材料の積層により抑制されることを直接観察により明らかとした。またこのような延性金属は反射率ミラーとして輝度の向上に貢献することが期待される。
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