2009 Fiscal Year Annual Research Report
微細組織に依存するβ型チタン合金の弾性特性の解明とその低ヤング率化
Project/Area Number |
21760555
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
多根 正和 Osaka University, 産業科学研究所, 助教 (80379099)
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Keywords | 構造・機能材料 / 生体材料 / チタン合金 / 弾性特性 / 超音波計測 |
Research Abstract |
異なるNb濃度を有するTi-Nb-Ta-Zr合金単結晶を光学式浮遊帯域溶融法を用いて作製した。作製した単結晶に対して、Nb濃度が低くβ相(bcc構造)の安定性が低い単結晶試料(Ti-25Nb-10Ta-5Zr mass%)に対してはβ相単相からの急冷によるアサーマルω相変態によって非熱的ω相を生成させ、室温にてβ+ω相の組織を得た。得られた試料に対して、超音波共鳴法および電磁超音波共鳴法を組み合わせた方法により、室温からの冷却過程での弾性率変化を測定した。その結果、単結晶弾性率c'およびc_<44>は室温からの冷却過程で単調に増加することが明らかとなった。これは、冷却に伴ってω相の生成量が増加したためであると考えられる。一方、Nb濃度が高くβ相の安定性が高い単結晶(Ti-29Nb-13Ta-4.6Zr mass%)に対しては、β相単相からの急冷によって室温にてβ相単相の組織を得た。その後、598K・259.2 ksの時効処理により熱的ω相をβ相内に生成させ、β+ω相の組織を得た。それらの試料に対し、室温にて超音波共鳴法および電磁超音波共鳴法を組み合わせた方法により弾性率を測定した。その結果、Ti-29Nb-13Ta-4.6Zrの弾性率c'およびc_<44>は時効に伴うω相の生成により、急激に増加することが明らかとなった。また。時効によって得られた熱的ω相を有するTi-29Nb-10Ta-5Zrの弾性率c'およびはc_<44>は、非熱的ω相を有するTi-25Nb-10Ta-5Zrの弾性率より高いことが明らかとなった。これは、ω相の生成過程の違いによって、β相内へのω相の分散が弾性率に及ぼす影響が大きく異なることを示唆するという重要な結果である。
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