2009 Fiscal Year Annual Research Report
アモルファス酸化物の結晶化に伴うナノポーラス化と現象解明
Project/Area Number |
21760556
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
仲村 龍介 Osaka University, 産業科学研究所, 助教 (70396513)
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Keywords | ナノポーラス / 酸化物 / アモルファス / 薄膜 |
Research Abstract |
今年度は主に,真空蒸着法で作製したアモルファスAl_2O_3薄膜のアニールに伴うボイドの形成挙動を透過型電子顕微鏡を用いて観察した。電子ビーム蒸着により作製したアモルファスAl_2O_3薄膜を、大気中700℃でアニールすると2nm程度のボイドが生成し、800℃でアニールするとγAl_2O_3への結晶化と共に4nm程度のボイドの生成が観察された。低密度のアモルファスAl_2O_3が高密度化する過程でボイドが導入されることを実験的に明らかにした。一方、抵抗加熱により作製したアモルファスAl_2O_3薄膜では、700℃で4nm、800℃で8nm程度のボイドが生成し、電子ビーム蒸着Al_2O_3に比べて、ボイドの形成が促進された。抵抗加熱Al_2O_3薄膜には、加熱に用いたWヒーターからのWの混入が検出された。HAADF-STEM観察により、蒸着後の抵抗加熱Al_2O_3薄膜中に1nm以下のクラスターとして存在するWが、アニールによってAl_2O_3中へ固溶することが明らかとなった。また、電子回折像を解析して得られた動径分布関数において、アニールに伴うAl-Oボンド長の減少が見られた。以上の結果は、Wの固溶によりAl_2O_3の格子が緩和されたことを示してる。第3元素としてのWが、アモルファス構造の変化およびボイド形成の促進に寄与していることが新たな知見として得られた。 Al_2O_3と同様,アモルファスTiO_2をアニールするとボイドが形成された.また,真空蒸着後のFe_3O_4のアモルファス薄膜においては,高密度のボイドが形成された.各種酸化物に応じたボイド形成挙動を整理し,系統的な現象解明に向けて次年度の研究を行っていく.
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