2009 Fiscal Year Annual Research Report
連続鋳造を用いた熱分解法によるロータス金属の製法の構築
Project/Area Number |
21760557
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
井手 拓哉 Osaka University, 工学研究科, 特任助教(常勤) (40507183)
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Keywords | ロータス型ポーラス金属 / 熱分解 / 一方向凝固 |
Research Abstract |
ガス化合物の熱分解を利用したロータス型ポーラス金属の作製方法"ガス化合物熱分解法"は,安全・安価なロータス金属の作製方法として期待される.実際にロータス金属を実用化するためには,この熱分解法を連続鋳造法に適用しなければならない.本年度は,連続鋳造法を用いてロータス銅およびアルミニウムの作製を試みた.Ar雰囲気下での銅の連続鋳造中に溶湯に水素化チタンを添加した.得られた鋳塊に円柱状気孔が形成することを明らかとした.水素化チタン添加量の増加に伴い,気孔率が増加することを明らかにした.しかしながら,本作製方法においては,鋳塊の引き出し長さの増加に伴い,気孔率が減少する.これは,脱ガス反応により溶湯の保持中に溶融銅中の水素濃度が変化したためであると考えられる.そこで本研究では新たに,Ar-水蒸気混合ガス雰囲気下での一方向凝固によりロータスAlの作製を試みた.温度を制御した水中にArガスをフローさせ,チャンバーの水蒸気分圧を制御した.高周波溶解にてAlを溶解後,一定の水蒸気分圧と平衡させるためArガスをフローさせつつ,4時間保持した後,一方向凝固させた.一方向凝固後の断面をワイヤーカット放電加工機で切り出し断面観察を行った.水蒸気分圧は実験時の湿度と実験温度における飽和水蒸気量から求めた.9.5×10^<-4>MPaの水蒸気分圧下で一方向凝固させた後の断面に円柱状の気孔が観察された.気孔率は15%,平均気孔径は1197μmであった.長さ200mmの鋳塊において多孔質構造はおおよそ均一であった.さらに,水蒸気分圧を4.8×10^<-4>MPaに減少させた試料において,気孔率は8%であった.今後は,気孔径の制御および詳細な気孔形成機構の解明を行う.本年度の研究を通して液相の水素濃度を一定に保つことで熱分解法を用いて長尺のロータス金属が作製できることが明らかになった.
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Research Products
(2 results)