2010 Fiscal Year Annual Research Report
連続鋳造を用いた熱分解法によるロータス金属の製法の構築
Project/Area Number |
21760557
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
井手 拓哉 大阪大学, 産業科学研究所, 助教 (40507183)
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Keywords | ロータス型ポーラス金属 / ガス化合物熱分法 / 機能性材料 / ヒートシンク |
Research Abstract |
一般に,金属の固液相間のガス溶解度差を利用して円筒状の気孔が一方向に配列したロータス型ポーラス金属が作製できる.ごく最近,我々は,水素等のガス原子を含む化合物(以後,ガス化合物と表記)を気孔のガス源とする熱分解法を発明した.ガス化合物は,一般に吸熱反応にて解離し,ガスを発生する.この熱分解反応を金属の鋳造・一方向凝固と同時に溶融金属内で生じさせ,生成するガスを気孔のガス源として利用することにより,ロータス金属が作製できる.本研究では,この熱分解法を利用した連続鋳造法を開発し,長尺,均一な多孔質構造を有するロータス金属を作製することを目的とした.熱分解法を利用した連続鋳造法の基礎的知見の構築を目的として,水蒸気分圧を一定に保った水蒸気-アルゴンガスの混合ガス雰囲気下でアルミニウムを一方向凝固させた.水蒸気雰囲気下で作製したロータスアルミニウムの気孔率は,引出速度に依存せず一定である事を明らかにした.また,水蒸気分圧の増加に伴い気孔率が増加することを明らかにした.これは,溶融アルミニウムと水蒸気の反応により水素が溶湯に供給され,気孔が形成される.その際,一定分圧の水蒸気ガスと連続的に反応させることにより溶融アルミニウム中の水素濃度が一定に保たれたためと考えられる.上記の得られた知見に基づき,ガス化合物および溶湯を連続的に反応炉に添加可能な熱分解法に適した連続鋳造装置を開発し,ロータス金属を作製した.大気圧のアルゴン雰囲気下で銅を連続的に一方向に引出つつ,水素化チタンを添加した.一定量の銅および水素化チタンを反応させ,一定速度で一方向凝固させることによりロータス銅が作製できる事が明らかになった.作製したロータス銅は従来の熱分解法を利用した鋳造法を用いて作製したそれと比較して,試料内で均一かつ長尺であった.
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Research Products
(3 results)